研究課題/領域番号 |
16K20038
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田中 陽子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (40647434)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / microRNA / A-to-I RNA editing / 滑膜細胞 / 滑膜 / 次世代シークエンシング |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)病態におけるmicroRNA(miRNA)の機能を明らかにし、治療・診断に発展させる土台を築くことが本研究の目的である。2008年以降、RAの滑膜細胞や末梢血単核球等に特異的に発現しているmiRNAが報告されてきたが、機能については十分に解析されていない。miRNAはターゲット遺伝子に結合し、その翻訳を抑制するため、機能を明らかにするためにはターゲット遺伝子の同定が必要である。ターゲット遺伝子予測ソフトを用いると、一つのmiRNAには数百から数千種類のターゲット遺伝子が抽出される。この中から、実際に対象とする細胞に発現し、機能している遺伝子を特定してかなければならない。 これらの問題を解決するために、RA滑膜細胞から抽出したRNAを用いて次世代シークエンシングを行い、コントロール群と比較して発現の低下していたmiRNAに注目し、機能解析とターゲット遺伝子の特定を行った。次世代シークエンシングを用いることにより塩基の変換や付加も検出することができ、RA滑膜において発現が低下しており、A-to-I RNA editingが誘導されているmiRNAを検出することができた。このmiRNAはRA滑膜細胞にて発現が低下していたため、滑膜細胞にmiRNA mimicを用いて過剰に発現させると細胞遊走や細胞増殖を低下させることが明らかとなった。そこで、関節炎動物モデルにmiRNA mimicを投与したところ、関節炎抑制効果があることが示された。また、これらの機能はA-to I RNA editingにより一種類のmiRNAの一塩基変換されたサブタイプが、それぞれ違ったターゲット遺伝子を認識して機能している可能性が考えられた。そこで、新規レポーターライブラリーを用いておよそ5,000遺伝子のルシフェラーゼアッセイを行い、ターゲット遺伝子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節リウマチ(RA)病態におけるmicroRNA(miRNA)の機能を明らかにし、治療・診断に発展させる土台を築くことが本研究の目的である。今回機能解析をおこなったmiRNAは細胞遊走と細胞増殖を抑制することがこれまでの研究から明らかになっており、そのターゲット遺伝子の特定や関節炎動物モデルを用いた治療実験を完了することができた。ターゲット遺伝子の特定では新規レポーターライブラリーを用いておよそ5,000遺伝子の中からmiRNAによりタンパク質発現を抑制し、且つ滑膜細胞に発現している遺伝子を特定した。この遺伝子をノックダウンすることにより細胞遊走や細胞増殖を抑制することも確認できている。動物モデルではmiRNA mimicを投与することにより関節炎の抑制と前述のターゲット遺伝子の発現を抑制していることが確認された。これらのデータを用いて論文投稿準備中である。以上のことから本研究がおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
論文投稿準備中であるため、投稿後の実験等に対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入の端数が生じたため。
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