研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)におけるmicroRNA(miRNA)の機能を明らかにし、治療・診断に発展させる土台を築くことが本研究の目的である。2008年以降、RAの滑膜細胞や末梢血単核球等に特異的に発言しているmiRNAが報告されてきたが、機能については十分に解析されていない。miRNAはターゲット遺伝子に結合し、その翻訳を抑制するため、機能を明らかにするためにはターゲット遺伝子の同定が必要である。ターゲット遺伝子予測ソフトを用いると、一つのmiRNAには数百から数千種類のターゲット遺伝子が抽出される。この中から、解析を行う細胞に実際に発現・機能している遺伝子を特定していかなければならない。 これらの問題を解決するために、RA滑膜細胞から抽出したRNAを用いて次世代シークエンシングを行い、コントロール群と比較して発現の低下していたmiRNAに注目し、機能解析とターゲット遺伝子の特定を行った。これまでに、RA滑膜において発現が低下しており、A-to-I RNA editingが誘導されているmiRNAを検出することができた。このmiRNAは滑膜細胞に過剰に発現させると細胞遊走や細胞増殖を低下させることが明らかとなった。そこで、関節炎動物モデルにmiRNA mimicを投与したところ、関節炎抑制効果があることが示された。また、これらの機能はA-to-I RNA editingにより一種類のmiRNAの一塩基変換されたサブタイプが、それぞれ違ったターゲット遺伝子を認識して機能している可能性が考えられた。そこで、新規レポーターライブラリーを用いておよそ5,000遺伝子のルシフェラーゼアッセイを行い、ターゲット遺伝子を同定した。さらに滑膜細胞を用いてA-toI RNA editingを誘導する酵素をノックダウンし、その効果を検証した。
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