研究課題
GFPで標識したヒト前立腺癌細胞株PC-3をマトリゲルとともにヌードマウスの脛骨近位に注射し,1週間後に蛍光イメージング装置OV100(Olympus社)を用いて細胞の生着,腫瘍の形成を確認した.DyLight 650(Thermo Fisher Scientific社)で標識した抗CEAモノクローナル抗体をヌードマウスの尾静脈に注射し,その1日後にMaestro蛍光イメージングシステム(Perkin-Elmer社)を用いて腫瘍組織を確認した.骨転移モデルマウスを2群に分類し,BLS群(bright-light surgery群)は明視野で腫瘍を切除し,FGS群(fluorescent-light surgery群)は明視野と蛍光イメージングで腫瘍を確認しながら切除した.蛍光イメージングでは,635 nmと675 nmのフィルターを用い,670-900 nmの蛍光を観察した.術後の遺残腫瘍は蛍光イメージング装置(OV100)を用いて評価し,腫瘍の再発はIllumatool Imaging System(Lighttools Research社)を用いて観察した.BLS群とFGS群の術前の腫瘍の蛍光面積はそれぞれ24.0±2.3 mm2,24.1±2.3 mm2であった(P = 0.490).腫瘍切除後のGFPの蛍光領域は,BLS群3.0±0.7 mm2, FGS群 0.2±0.1 mm2であった(P < 0.001).術後5週での蛍光面積は,BLS群200.6±43.9 mm2, 31.1±13.2 mm2であった(P < 0.001).無再発生存期間を比較したところ,術後12週での無再発生存率はBLS群で0%, FGS群で36.9%であり,FGSは有意に再発を抑制した(P < 0.001).蛍光ガイド下での腫瘍切除は遺残腫瘍,腫瘍の再発を抑制しており,蛍光イメージングは術中に腫瘍の位置,正常組織との境界を把握する手段として有用と考えた.本研究では蛍光ガイド下手術を行った群においても多くの再発を認めており,この手法の応用には腫瘍の蛍光標識の方法を改善する必要がある.
2: おおむね順調に進展している
予定通り結果が出ており、順調に進展している。
新規治療法として、プラチナ製剤とビスフォスフォネートを融合させることにより骨に集積する新規プラチナ製剤、分子標的薬としてGSK-3β阻害薬の有用性についても研究しており、これらの研究を計画通りに遂行する予定である。
平成28年度に予定していた動物実験を平成29年度に実施することとしたため。
次年度には動物実験を中心とした研究が中心となり、実験動物、試薬、論文掲載料など多くの費用を要すると見込まれる。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 5件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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