当院通院中のDDEDS患者における脊椎病変の包括的調査を行った。対象は、受診歴のある11家系12患者(男性5人、女性7人、平均年齢13.4歳)で、全脊椎X線を含めた脊椎画像検査により、脊柱変形の程度・継時的変化などについて調査を行った。また、脊椎矯正術を行った1例に関して骨組織の精査を行った。結果、12例中8例(66.7%)に側弯を認めた。そのうち45°を超えるような側弯は1例のみであった。また12例中5例(41.7%)に胸腰椎以降部における後弯を認め、12例中3例で50°以上の高度胸腰椎移行部後弯を認めた。胸腰椎移行部高度後弯を認めた全例で胸椎前弯を認めた。自然経過では、成人後に後弯角20°未満であったが、その後後弯が増強した症例があった。 頚椎についての検討では、12例中6例(50.0%)で頚椎後弯を認めた。20°以上の胸腰椎移行部後弯を認めた全例で頚椎後弯を認めた。12例中2例(16.7%)に環軸椎亜脱臼を認めた。12例中10例(83.3%)に頚椎の椎体縦長変形を認めた。 手術検体において、骨組織のHE染色上明らかな異常を認めなかった。骨形態計測上、腸骨基準値で見た場合、骨量関連や類骨関連、吸収関連のパラメータは低値であり、椎骨の骨代謝はlow turnover傾向であることが示唆された。 本研究は、mcEDS-CHST14の脊椎病変に関する世界初のシリーズであり、ヒトの椎体形成および脊椎カーブの維持においてデルマタン硫酸が重要な役割を果たしていることが示された。 以上の成果を日本整形外科学会、日本人類遺伝学会等で報告を行い、論文作成し公表した。また、今年度手術症例の3例に関して、周術期管理及び手術成績をまとめ、mc-EDS脊椎病変に対する外科的治療の有用性を示した論文とし、投稿を行った。
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