本研究の目的は細胞内伝達機構であるmTORシグナル経路の制御が脊椎椎間板の変性疾患の予防・治療法となる可能性を検証することであった。ヒト椎間板細胞に対するRNA干渉を用いたシグナル制御因子の解析から、mTORC1の抑制が椎間板保護作用を来すことを明らかにした。次にmTORC1阻害剤が類似の椎間板保護作用を来すことを確認した。さらにRNA干渉を用いてオートファジーの特異的な阻害を行い、オートファジーのアポトーシス細胞死とセネッセンス細胞老化の抑止効果を明らかとした。本研究結果から、mTORシグナル経路とオートファジーの制御が椎間板変性の新たな細胞生物学的予防・治療法となる可能性が示された。
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