研究課題
全ての細胞では、小胞体ストレス応答によってタンパク質の品質管理が行われている。近年、小胞体にはタンパク質の品質管理以外に、細胞分化や機能の制御といった別の働きがあることが明らかになってきている。本研究では、小胞体ストレス応答の1つであるATF6に着目し、骨代謝の影響を明らかにしている。われわれは、ATF6ノックアウトマウスの骨密度は4週・6週・8週・12週・1年いずれの時期においても、野生型マウスと比較し、ノックアウトマウスではいずれの時期においても骨密度は増加していた。さらに骨代謝マーカーを計測したところ、P1NPもノックアウトマウスで高値を示し、組織切片で骨芽細胞のマーカーであるALP染色を行ったところ、ノックアウトマウスで強染されていた。in vivoの解析から、骨密度増加の原因は骨芽細胞の機能が亢進しているためにおこっていることが明らかになった。次に、ノックアウトマウスの頭蓋骨から採取した前骨芽細胞にBMP-2を加え、分化実験を行った。ATF6ノックアウト細胞は、ALP・アリザリンレッド染色で強染されていた。また、骨芽細胞マーカーであるCol1a-1やRUNX2, Osterixなど複数種類の遺伝子がqPCRで増加していた。以上より、in vivoでもin vitroでも、ATF6ノックアウトは野生型と比較して、骨芽細胞の機能もしくは分化が亢進していることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
ノックアウトマウスで骨密度が増加することを各年齢のマウスで確認できた。さらに、骨芽細胞の機能亢進であることがin vivoおよびin vitroで同定できたため。
ATF6のノックアウトで骨芽細胞の機能が亢進する理由を明らかにする。そのために、ATF6のノックアウト細胞株を樹立している。
予定していた消耗品がまだ十分あったため、次年度使用額が生じた
上記研究計画にかかる消耗品を購入する予定である
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Case Rep Orthop
巻: - ページ: Aug 28
10.1155/2016/5963924