研究課題
全ての細胞では、小胞体ストレス応答によってタンパク質の品質管理が行われている。近年、小胞体にはタンパク質の品質管理以外に、細胞分化や機能の制御といった別の働きがあることが明らかになってきた。小胞体ストレス応答の代表的なセンサーの一つであるATF6に着目し、骨代謝における役割を解析している。まず、ATF6のノックアウトマウスにおける表現型を解析した。体長や体重には、野生型マウスと変化がみられなかったが、ATF6ノックアウトマウスでは骨密度の増加がみられた。その骨密度の増加は、4週~1歳マウスでも認められた。骨代謝マーカーを測定したところ、骨吸収マーカーであるTRAP5bはノックアウトマウスと野生型で違いがみられなかったが、骨形成マーカーであるBAPがノックアウトマウスで亢進していた。続いて、骨密度増加の原因を明らかにするために、ATF6をノックアウトしたときの破骨細胞と骨芽細胞の分化について解析した。破骨細胞分化に関しては、ATF6をノックアウトしても差がみられなかった。しかしながら、day 0マウスの頭蓋骨から採取した前骨芽細胞にBMP2で刺激し骨芽細胞に分化を促したところ、ATF6ノックアウトでは分化の亢進がみられた。それとともに、Col1やALP、オステオカルシンといった分化マーカーも増加していた。ATF6のノックアウトマウスの骨密度増加の原因は、破骨細胞機能ではなく、骨芽細胞機能の亢進によるものであると考えられた。
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