研究課題/領域番号 |
16K20064
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
樋田 真理子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737224)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コラーゲン / 転写 / 骨 / 軟骨 |
研究実績の概要 |
<XXVII型コラーゲン遺伝子の選択的プロモーターの基本転写調節機構の検討> XXVII型コラーゲン遺伝子は、軟骨組織に発現している事は分かっているが、その発現調節機構についての情報は全くない。申請者は、この遺伝子の基本転写調節機構の解析を進めたところ、2つの転写産物が存在し、その発現が異なっている(軟骨・皮膚)事を見出した。一方、この遺伝子の選択的プロモーターのメカニズムおよび関与する転写因子については全くわかっていない。そこで、1:基本プロモーター領域をルシフェラーゼアッセイにより決定し、2:関与する転写因子をゲルシフトアッセイ、特異抗体を用いたChipアッセイ等で同定する。 <XXVII型コラーゲン遺伝子の軟骨特異的エンハンサー領域の発現調節機構の検討> 発見したXIおよびXXVII型コラーゲン遺伝子に存在する軟骨特異的エンハンサー領域を導入したトランスジェニックマウスを作製し、個体レベルでの発現パターンを解析する。2つの軟骨特異的シスエレメントの個体レベルでの活性を検討するために、エンハンサー領域を含んだコンストラクトDNAを構築後、作製したコンストラクトDNAを、マイクロインジェクションにより受精卵に導入してトランスジェニックマウスを作製する。トランスジェニックマウスは、胎生13.5~16.5日で取り出し、Xgal染色後にホールマウントまたは切片を作製し、エンハンサー活性の発現パターンを解析すると共に、免疫染色により関与する因子の生体内での作用機序を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者はこれまでに、マウスXXVII型コラーゲンα1鎖遺伝子に選択的スプライシング産物が2つ存在しており、この転写産物が選択的プロモーターにより制御されていることを見出した。そこで、XXVII型コラーゲンα1鎖遺伝子の選択的プロモーターの中で、新しく見出した軟骨組織への関与が示唆されている基本プロモーターの転写調節機構について解析した。その結果、軟骨特異的エンハンサー領域に関わる2つの重要な結合配列及び結合している調節因子の存在を明らかにすることが出来たので、この調節因子の強制発現もしくはノックダウンコンストラクトを作製し、軟骨細胞における機能解析を行った。更に、見出した軟骨特異的発現調節因子が、軟骨分化過程や骨分化過程にどのような役割を果たしているかを検証しつつある。加えて、最近注目されている、non-coding RNAによるXXVII型コラーゲンα1鎖遺伝子発現調節機構および軟骨分化誘導機構への関与を検討すると共に、軟骨形成不全症などの関連疾患への作用機序を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
最初に、明らかにした軟骨特異的エンハンサー領域に関わる2つの重要な結合配列及び結合している調節因子について、強制発現もしくはノックダウンコンストラクトを軟骨細胞に遺伝子導入することによって、これら因子の役割を早急に明らかにする。同時に、見出した軟骨特異的発現調節因子が、軟骨分化過程や骨分化過程にどのような役割を果たしているかについても、未分化間葉系幹細胞の実験系を用いて検討する。non-coding RNAによるXXVII型コラーゲンα1鎖遺伝子発現調節機構および軟骨分化誘導機構への関与についても、未分化間葉系幹細胞システムを用いて、早急に検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)明らかにした軟骨特異的エンハンサー領域に関わる2つの重要な結合配列及び結合している調節因子の遺伝子導入および軟骨細胞での機能解析が予定どおりに進まなかったので、細胞実験および動物実験に関わる費用の一部を繰り越した。更に、non-coding RNAによるXXVII型コラーゲンα1鎖遺伝子発現調節機構および軟骨分化誘導機構に関わる実験の費用についても繰り越した。 (使用計画)これら機能解析実験について、出来る限り早く遂行することにより、遺伝子発現および分化誘導メカニズムを明らかにする。
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