研究課題/領域番号 |
16K20067
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
倉谷 麻衣 埼玉医科大学, 医学部, ポストドクター (50758109)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 異所性骨化 / 軟骨・骨 / 骨格筋 / 炎症 |
研究実績の概要 |
進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva: FOP)は、 Bone Morphogenetic Protein(BMP)のI型受容体ALK2の機能獲得型変異により、全身の骨格筋で異所性骨が形成される遺伝性疾患である。FOPにおける異所性骨の形成は、筋組織の炎症反応によって、急激に惹起されることが知られている。しかし、炎症と異所性骨形成の分子メカニズムは明らかとなっていない。本研究は、筋組織の炎症による異所性骨の誘導機構を解明することを目的とする。 平成28年度は、ヘビ毒であるCTX(カルディオトキシン)及びNTX(ノテキシン)の投与で筋再生を誘発したマウスの骨格筋を解析し、複数のTransforming Growth Factor-β(TGF-β)ファミリーの発現が上昇することを明らかにした。さらに、筋再生に伴って発現上昇が確認された因子の作用を検討するために、テトラサイクリン誘導体であるドキシサイクリン依存的にFOPの変異型ALK2 [ALK2(R206H)] あるいは野生型ALK2 [ALK2(WT)] の遺伝子発現を誘導できる細胞を樹立した。BMPに特異的なルシフェラーゼ・レポーターアッセイの結果、ALK2(R206H)を発現した細胞で、複数のTGF-βファミリーのリガンドによりBMPシグナルが強く活性化されることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CTX及びNTXを使用したin vivo筋損傷モデルの解析から、筋再生に伴ってmRNAレベルの発現が上昇するTGF-βファミリーを同定することができた。さらに、これらの因子が、ALK2(R206H) を薬剤依存的に発現する細胞で、ALK2(WT)に比べ強いBMPシグナル活性を誘導することを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の実験から、炎症した筋組織で増加する因子が、ALK2 (R206H) を活性化することが示唆された。平成29年度は、特異抗体を用いた免疫染色によって、TGF-βファミリーの因子の組織局在を明らかにする。組織免疫染色での検出が難しいようであれば、in situ hybridization法での検出を試みる。さらに、BMPペレットを移植したマウスの異所性骨化モデルを用い、同定したTGF-βファミリーの因子の異所性骨化に対する作用を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会等の出張のために計上していた旅費が予想よりも低く抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の一般消耗品の購入に充てる予定である。
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