研究課題/領域番号 |
16K20068
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長尾 雅史 順天堂大学, 革新的医療技術開発研究センター, 助教 (50384110)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 変形性関節症 / 血管内皮増殖因子 |
研究実績の概要 |
我が国において約3500万人が変形性関節症(OA)に罹患している。関節痛を伴い、高齢者の 健康寿命を脅かす運動器変性疾患であるが、OA 進行抑制効果をもつ治療薬は存在せず、対症療法が主な治療である。昨今の高齢化社会に伴う医療費の増加から、有効な薬物治療の開発が切望されている。最近のメタアナリシスにより、血管内皮増殖因子A(VEGF)を含む3つのOA 感受性遺伝子が同定された。VEGF 欠失マウスではOA 進行が抑制され、VEGF 受容体リン酸化が抑制されるという先行研究結果から、OA におけるVEGF シグナルはVEGF 受容体を介すると考えられる。 本研究ではOA におけるVEGF 受容体の関与を明らかにし、既存のVEGF 受容体阻害薬投与によるマウスOA 抑制効果および疼痛軽減効果を検証することにより、ヒトへの臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することを目的として研究を進めている。 VEGFについてはがん治療や眼科分野においてすでに有力な治療標的であり、先行研究より抗VEGF抗体関節内投与がOA 抑制および疼痛軽減に有効である。しかしながら、OA治療は関節軟骨だけでなく、軟骨下骨や血管などの近傍組織も含めて考える必要があり、本研究 提案の低分子化合物による治療は抗体治療と比較して、より広範囲組織に標的が可能である。また、本研究で使用する治療薬はすでに臨床試験が終了しているため、OA に対する抑制効果が立証されれば、比較的すみやかな臨床応用が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画にて使用予定であった遺伝子改変マウスの軟骨発生におけるインビボでの表現型確認を終えている(2016年)。今年度、遺伝子改変マウスOAモデルのデータを中心に解析を行い、終了した(2017年)。 我々の仮説であるVEGF欠失によるOA抑制効果については一定の効果があることが明らかとなっている。 以上より、概ね順調に進展していると考えている
|
今後の研究の推進方策 |
研究提案した新規薬剤投与によるOA治療効果に関する研究を終え、一定の効果を示している。今後、免疫染色や関連する分子メカニズム明らかにするために、軟骨培養細胞を用いたインビトロ実験を進めていく予定である。 また、今後ヒトによる臨床研究の可能性について模索中である。 現時点では研究計画の変更はない予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016年より研究開始し、色々必要物品を購入してきました。学内の共同施設なども使いながら研究を開始しているため、徐々に購入をしています。 遺伝子改変マウスモデルを用いた研究で、一般的な組織標本を用いた研究を中心に行っていましたが、今後は細胞を使った研究を行う予定です。
|