研究課題/領域番号 |
16K20073
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
齊藤 雅彦 東邦大学, 医学部, 助教 (30718747)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 前十字靭帯 |
研究実績の概要 |
本研究は変形性膝関節症(膝OA)における前十字靭帯(ACL)変性の病態解明及び膝OAの病態への関与を遺伝子およびタンパクレベルで明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、膝OAのACLにおける網羅的な遺伝子発現(mRNA,miRNA)をRNA-Seqを用いて遺伝子発現の解析を行う予定としていた。RNA-Seqの結果をより信頼できるものにするためには、検体であるRNAが純度が高く、分解されていないものを組織から抽出する必要がある。組織からの良質なRNAを抽出するのは、組織によっては困難なため、まずはACL組織からRNA-Seqに用いるRNAを抽出できるプロトコールを検討した。RNA-Seqのサンプルに用いるRNAは純度が高く、分解されていないものでなければ、Sequencingのquality自体が下がってしまうためのプロトコールが本研究では非常に大事となる。過去に人工膝関節置換術(TKA)の際にACLを切除し、保存していた組織よりRNAを抽出し、純度、量ともに十分得られることが確認できた。 また、本研究ではACLの肉眼的な変性度により3群(①正常群:肉眼的に正常、②軽度変性群:一部変性しているものの、連続性は保たれている、③断裂群:変性が強く、連続性がない)に分けて、遺伝子発現差を検討する予定だが、術中に肉眼的に判断できるか否かを確認し、肉眼所見で十分3群に分けられることが確認できた。 本年度はこの結果に基づき、予定していた症例数(各群5例)のACL組織を集め、RNA-Seqにて遺伝子解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度の実施計画では、RNA-Seqによる遺伝子解析までを行う予定であったが、RNA-Seqを行う上では材料となるRNAの純度、分解度が結果を大きく左右するため、十分なRNA抽出プロトコールを検討したため、計画よりは遅れたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずは予定している15例のサンプルを集め、RNA抽出からRNA-Seqまでを行う予定である。本学では毎月10例前後のTKAを行っているため、2-3ヶ月で目標のサンプル数が得られると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、まずは初年度にRNA-Seqまで研究が進まなかったことがあげられる。また、初年度ということもあり、研究成果が、学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり、学会などへの出張を行わなかったため、旅費が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、RNA-Seqまで終わらせること、学会への参加のための旅費に使用することなどを計画している。
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