研究実績の概要 |
本研究は、肉腫(骨軟部腫瘍)領域において、標準治療として一般的に行われている手術や抗がん剤治療レジメンが、免疫機能にどのような影響を及ぼすかを解析することを目的とし計画した。免疫機能が受ける影響にレジメン間で差を認めたり、抗がん剤が免疫機能に与える影響に個体差があることが確認できれば、新たな視点による個別化医療開発や、免疫療法との併用療法の開発、また、新規予後マーカーの開発にもつながることが期待される。
2015 年 4 月に国立がん研究センター中央病院研究倫理審査委員会の承認を得た上で, 悪性骨軟部腫瘍患者のうち, 標準治療である 1)手術単独例, 2)新規術前化学療法導入例, 3)進行例に対する化学療法例の患者を対象に, 実地臨床に合わせて各 3 ポイントでの前向き採血を実施した. 採取後, 末梢血リンパ球(peripheral bloodmononuclear cell: PBMC)を分離し, 一部を凍結保存、一部を flow cytometry にて, T 細胞のフェノタイプ・活性化マーカー, 各種免疫抑制細胞などの解析した。2017 年 3 月時点で 105 症例( 1)51 例, 2)19 例, 3)35 例)に対して免疫モニタリング採血を施行した. 疾患 内訳は,脂肪肉腫 28 例, UPS15 例, 骨肉腫 12 例, 粘液繊維肉腫 9 例, デスモイド 8 例, 軟骨肉腫 7 例, 他 26 例であった。 現在までに免疫抑制細胞骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid-derived suppressor cell: MDSC)サブセットである単球系 MDSC と顆粒球系-MDSC、及び樹状細胞のサブセットである myeloid (mDC)と plasmacytoid (pDC)について解析を行った。
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