研究課題/領域番号 |
16K20084
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐々木 美佳 新潟大学, 医歯学総合病院, 技術補佐員 (20774061)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高用量モルヒネ / 髄腔内投与 / GRP / MAP kinase / セロトニン / オンダンセトロン |
研究実績の概要 |
モルヒネ塩酸塩30nmol, 60nmol/5μlを無麻酔科で髄腔内投与すると、用量依存的に侵害刺激行動が現れた。このモデルマウスは、侵害刺激行動のうち主に引っ掻くまたは噛むといった行動を示すことから、痒み行動を表現していることが示唆された。これにより、モルヒネ30nmolの髄腔内投与モデルを痒みモデルとして以降の検討を行った。 以前から、オピオイドの痛覚伝導路とセロトニンによる下行性抑制系の関係は報告されていることから、モルヒネによる痒み行動とセロトニンとの関係を行動学的に検討した。セロトニン受容体拮抗薬のオンダンセトロンをモルヒネ投与30分前に腹腔内投与をした結果、モルヒネ30nmolによる痒み行動を抑制できることを証明した。 また、ウエスタンブロッティング法により、モルヒネ30nmol投与後の脊髄後角でのMAP kinaseの変化を検討した結果、MAP kinaseのうちERK, p38のリン酸化の増加傾向が認められた。しかしながら、これらの増加はオンダンセトロン前投与によって有意な抑制効果がみられなかった。これにより、行動学的検討の結果と脊髄後角でのMAP kinaseの発現変化に乖離があることから、MAP kinaseとは違うメカニズムによって痒み行動が抑制されている可能性が示唆された。 さらに免疫組織化学染色法により、モルヒネ30nmolを髄腔内に投与すると、脊髄後角において痒みにも関与していると報告されているリン酸化ERK、GRP (Gastrin-releasing peptide) およびセロトニン免疫染色性が増加することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モルヒネ30nmolの髄腔内投与による自発行動が、痒み行動である可能性を示唆したこと、ウエスタンブロッティング法によって脊髄後角におけるMAP kinaseのタンパク質の定量が進んでいること、免疫組織化学染色法によって脊髄後角での痒みに関連する物質の発現増加を明らかにしていることから、高用量モルヒネ髄腔内投与による侵害刺激行動が痒みに関連している可能性を行動学的・生化学的・組織学的に示せたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、モルヒネ30nmolの髄腔内投与によって惹起された侵害刺激行動が痒みに関係していることを更に確実なものとし、この行動がどのような阻害剤によって抑制されるのかを検討することにより、高用量モルヒネの髄腔内投与により生じる痒みのメカニズムを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
納入業者などの割引セールなどを利用したおかげで予定よりも経費がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に必要な物品(特に消耗品)を購入する費用に当てる予定である。
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