腸管出血性大腸菌O-157によって引き起こされる疾患としては,HUS(溶血性尿毒素症症候群)が有名である.このHUSは,溶血性貧血,血小板減少,急性腎不全を伴う症候群で,小児や高齢者では致死的となりうる.その治療法は,対症療法のみで未だに有効な治療法がない.今回我々はこのHUSに対して様々な治療法を検討するために,ラットモデルを作成し,その妥当性を検討した.このHUSの病態には,ベロ毒素(STx2)が大きな役割を果たしていることがわかっており,このSTx2の腹腔内投与モデルを作成することができた.しかしこのモデルでは,急性腎不全は再現できたが,溶血性貧血や血小板減少の再現性が問題となった.
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