研究課題/領域番号 |
16K20087
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
関口 剛美 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (30770656)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 関節炎 / 関節痛 / 骨髄炎 |
研究実績の概要 |
関節炎の痛みのメカニズムとして骨髄内病変が注目されている。本研究では関節炎モデルを作成し、関節炎の痛みへの骨髄内病変・骨髄内神経の関与を調べた。関節炎モデルラットを作成し、痛み関連行動、機械刺激逃避閾値を調べた。関節炎モデル作成後、1週間~2週間痛みが持続し、3~7日目に痛みのピークを迎えることが示された。そのため、関節炎の痛みを評価する際は関節炎モデル作成後3~7日で評価を行った。関節炎による骨髄内神経の痛覚過敏を評価するために関節炎モデルラットとShamラットに対し骨髄内に電極を留置して骨髄内電気刺激を行った。関節炎モデルラットはShamラットと比べ、骨髄内電気刺激による逃避行動の閾値の低下を認め、骨髄内神経の過敏性を認めることが明らかとなった。また、骨髄内神経の関節炎による痛みの関与を調べるため、Shamラットと関節炎モデルラットの患側、健側の骨髄内にリドカインを投与して痛み関連行動と機械的逃避閾値の変化を調べた。関節炎ラットの患側骨髄内にリドカインを投与すると、機械的逃避閾値が低下し、関節炎モデルの健側にリドカインを投与したものやShamラットでは変化が見られず、骨髄内リドカイン投与により関節炎の痛みを抑制しており、関節炎の痛みに骨髄内神経が関与することが明らかとなった。 以上の結果より、関節炎は骨髄内神経の過敏性を引き起こし、骨髄内神経の興奮が関節炎の痛みに部分的には関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
行動生理・薬理学的実験により関節炎への骨髄内神経の過敏性が関与してる可能性が明らかとなってきたが、骨髄内電気刺激に応答するニューロンが少なく、電気生理学的実験が十分に行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
電気生理学的実験でも骨髄内刺激を電気刺激で行っていたが、双極電極を用いた電気刺激では刺激範囲が狭く十分な刺激が行えていない可能性が考えられた。また、電気刺激の強度を上げると脊髄ニューロンの記録が困難になることから、従来行っていた機械的刺激による実験へ切り替えて電気生理学的実験でも骨髄内神経の過敏性の証明を行っていく予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気生理学的実験が遅れているため、次年度使用額が生じた。 次年度は電気刺激を用いずに機械的刺激による細胞外記録を行い消耗品費として使用する予定である。
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