研究実績の概要 |
喫煙により血管内皮細胞が傷害されることで血小板凝集能が亢進され、血栓形成を引き起こすことが知られている。しかし、血小板機能に対する喫煙の影響またその機序の詳細は明らかではない。今回、術前に患者が禁煙した場合、あるいは術前に抗血小板薬を中止する場合を想定し、血小板機能の経時的変化を解析し、安全な周術期管理の指標を示すことを本研究の目的とする。禁煙外来受診患者において、文書と口頭による説明を行い、同意書に署名を得られた対象者から、静脈血採血を行う。禁煙外来初回受診日、1カ月後(4週)、2カ月後(8週)、3カ月後(12週)に追跡調査を実施する。また、術前に抗血小板薬を中止した患者から採血を行う。得られた静脈血より多血小板血漿(PRP)を調製し、ADP、collagenなどの刺激による血小板凝集能の変化をレーザー粒子径計測法にて解析する。 解析後、ELISA用のサンプルと血小板に分離する。得られたサンプルより、血小板から遊離される生理活性物質(platelet-derived growth factor,5HT,CD40L等)をELISA法にて測定する。また、Western blot法を行い、様々な抗体(p38 MAP kinase、p44/42 MAP kinase、HSP27など)と反応させ、血小板中の細胞内情報伝達機構を明らかにする。また、診療により得られた患者基本情報(年齢、性別、身長、体重、血圧、使用中の薬剤名、血小板数等)を収集し、論文にまとめ発表する。
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