研究課題/領域番号 |
16K20097
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 岡山大学, 大学病院, 助教 (50444675)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 酸素 / 酸素療法 / 周術期 / 麻酔 / 集中治療 / 術後合併症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、全身麻酔中および術後患者において、①医師が実際に投与している酸素濃度と、高酸素血症がどの程度発生しているかの現状調査、②高酸素血症の発生と生理学的変化やバイオマーカーの関連、③高酸素血症の発生と患者予後、術後合併症の発生との関連を明らかにすることである。 ①に関しては、前年度までに観察研究を終え、全身麻酔中は高酸素血症が高率で発生しており、酸素投与を制限する余地が十分に存在することが分かり、酸素の使用を制限する介入研究を行うことの妥当性を示すことができた。この結果を受けて、平成30年度は②、③に関して、介入研究を施行するための準備を進めた。手術患者の中でも特に高酸素血症に曝される機会が多かった呼吸器外科手術の患者に注目し、手術中の酸素化の指標である経皮的動脈血酸素飽和度のターゲットを従来よりも低めに設定し、酸素の使用を厳重に管理する制限酸素療法と、酸素の使用を制限しない従来療法を比較するランダム化比較試験を計画中である。研究支援を依頼した生物統計学者とミーティング重ね、アウトカムや症例数の設定、統計解析やデータマネージメントの方法などを決定し、研究プロトコルを作成した。詳細はプロトコル論文として、英文査読雑誌に投稿予定である。 施設内では、自動麻酔記録から詳細な手術中データの抽出を行えるシステムを整備した。臨床研究コーディネーターとのミーティングも重ねており、研究体制の構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までの研究結果を英文雑誌に投稿した際に、査読者からの指摘で、生物統計学者による統計コンサルトを求められ、さらに詳細な統計解析を行うこととなった。その結果、当初の予定よりも論文化に遅れが生じた。 この経過をうけて、平成29年度から開始予定であった介入研究においても、研究デザインの立案の段階から生物統計学者にコンサルトを依頼することとなり、その選定に時間を要した。さらに、平成30年4月1日から施行された臨床研究法への対応を検討したため、介入研究の開始が大幅に遅れ、平成30年度内の研究開始が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
遅れの原因の一つである生物統計学者へのコンサルトに関しては、生物統計学者を選定後は、定期的にミーティングを重ねて研究プロトコルの作成を行う事ができおり、今後はスムーズに研究計画の立案が進行するものと思われる。また、データ抽出方法の確立や、スタッフへの周知などを行い施設内での研究体制の構築も進んでいる。 臨床研究法への対応に関しては、検討の結果、特定臨床研究に該当しないと判断し、通常の臨床研究として手続きを進めていくこととなった。現在は倫理委員会の申請に必要な書類を準備しており、次年度内に介入研究が遂行できるように鋭意準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:今年度に介入研究を開始する予定であったが、元々予定になかった生物統計学者へのコンサルタント依頼や臨床研究法への対応などにより、介入研究の開始に遅延が生じることとなり、介入研究遂行に必要な資金を使用しなかったため。
使用計画:次年度には介入研究を開始する予定であり、生物統計学者の研究支援に関する費用が必要となる。すでに見積もりは終わっており、マイルストーン毎に支払予定である。さらに、同意取得や試料採取が必要となる可能性が高く、臨床研究コーディネーターの人件費や外注検体検査の費用に充てる予定である。
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