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2017 年度 実施状況報告書

糖尿病性神経障害性疼痛に対する抑肝散と加味逍遥散の鎮痛効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K20099
研究機関広島大学

研究代表者

加藤 貴大  広島大学, 病院(医), 助教 (10432668)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード糖尿病性神経障害性疼痛 / 抗アロディニア効果 / 抑肝散 / 加味逍遥散
研究実績の概要

本研究は糖尿病性神経障害性疼痛に対する抑肝散と加味逍遥散の鎮痛効果並びに効果発現部位の検討を目的としている。SDラットにストレプトゾトシン(STZ)を投与することで糖尿病ラットを作製した。そのうち、アロディニアを示したものを糖尿病性神経障害性疼痛モデルラット(DMラット)とした。DMラットに抑肝散(YKS)と加味逍遥散(KSS)1g/kgを単回経口投与・継続経口投与し、その抗アロディニア効果の経時的推移をvon Frey testで評価した。(DMラットにYKSを投与した群:YKS群、DMラットにKSSを投与した群:KSS群、DMラットに蒸留水を投与した群:C群) 結果、本実験の糖尿病発症率は92%であった。DMラットはSTZ投与後1週から6週まで高血糖を維持した。単回経口投与での抗アロディニア効果に関しては、YKS群はC群と比較して投与後120分より有意な抗アロディニア効果を認め、投与後240分まで持続した。さらに、投与後120分でYKS群はKSS群より有意な抗アロディニア効果を認めた。継続経口投与での抗アロディニア効果に関しては、薬剤投与開始後1週からYKS群・KSS群ともにC群と比較して有意な抗アロディニア効果を認め、継続投与を終了した4週まで抗アロディニア効果は継続した。YKS群、KSS群の群間に有意な差は認めなかった。以上の結果から、YKSは単回投与において糖尿病性神経障害性疼痛に対する抗アロディニア効果を有し、YKS・KSSはどちらも継続投与にて糖尿病性神経障害性疼痛に対する抗アロディニア効果を有する可能性があることが分かった。さらに、YKSを継続経口投与したDMラットの髄腔内にセロトニン(5-HT)受容体拮抗薬を投与すると、投与後60分をピークに疼痛閾値の低下が認められた。すなわち、抑肝散の鎮痛効果には脊髄の5-HT下行抑制系が関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度に新たなvon frey test用の器具を購入し、その調整に手間取ったため。さらに、これまで行ってきたYKSの単回投与・継続投与によるDMラットの抗アロディニア効果の評価を、新たな器具で再検討したため、遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

YKSを4週間継続投与したDMラットならびに同週のDMラットの脊髄を摘出し、ミクログリア・アストロサイトの免疫染色を行うことで、YKSの鎮痛効果の検討を行う。追加実験として、5-HT生成阻害薬の腹腔内投与を行い、5-HTが枯渇した時点での疼痛閾値の変化を検証することで、5-HTの関与の有無を検討する。最後に、平成29年度に行った5-HT受容体拮抗薬(5-HT2A/2C受容体拮抗薬)の髄腔内投与による脊髄レベルでの5-HTの関与の検討と同様の実験手法で、5-HT1A受容体拮抗薬と5-HT3受容体拮抗薬を髄腔内投与し、5-HT2A/2C受容体以外の受容体の関与を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度に実験予定であった5-HT受容体拮抗薬の髄腔内投与によるantagonist studyの1部しか施行できなかったため。
平成30年度に残りのantagonist studyを行うとともに、脊髄の免疫染色を行う予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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