悪性高熱症(malignant hyperthermia; MH)は、骨格筋における細胞内カルシウム濃度(Ca2+)の異常上昇により引き起こされる遺伝性の筋疾患である。これまで、局所麻酔薬による筋毒性の報告がされてきたが、その主な原因として細胞内Ca2+濃度の上昇が考えられている。今回、MH素因者の骨格筋に局所麻酔薬を負荷した際の細胞内Ca2+動態について研究した。MH素因者の骨格筋にリドカイン、レボブピバカイン、ロピバカインを負荷した際の細胞内Ca2+動態は、健常者と比較して有意差はなかった。このことから、MH素因者にも局所麻酔薬の使用を控える必要はないと考えられた。
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