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2017 年度 実施状況報告書

植物フラボノイドクエルセチンの強心作用と分子メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K20103
研究機関九州大学

研究代表者

早水 憲吾  九州大学, 大学病院, その他 (70444833)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードクエルセチン / 強心作用 / カルシウムジェント
研究実績の概要

本研究の目的は、植物フラボノイドであるクエルセチンが持つ抗腫瘍作用や心臓血管保護作用とは別の機序で心臓に対する直接的な要請変力作用を持つことを証明することである。昨年度はサルコメア収縮および細胞内カルシウム動態の計測を行い、クエルセチンが心筋細胞レベルで陽性変力作用を持つことを証明し、マウス個体へ投与することにより、左心収縮能が改善することとクエルセチンの血中濃度の測定、またクエルセチンの代謝物であるタマリキセチンとイソラムネチンの血中濃度の測定を行った。
本年度は血中濃度の測定を行うことができた代謝物であるタマリキセチンとイソラムネチンを用いてサルコメア収縮および細胞内カルシウム動態の計測を行い、タマリキセチンとイソラムネチンが心筋細胞レベルで陽性変力作用を持つことを証明することができ、クエルセチンとその代謝物であるタマリキセチンとイソラムネチンが心筋細胞に影響を与えることで心収縮力を増強させていることを証明することができた。細胞内カルシウム濃度を測定することで、心筋細胞における収縮力の増強は細胞内カルシウムトランジェントの増強によるものであることを証明した。
細胞内カルシウムトランジェント増強の原因を探るため、マウス心筋のスキンドファイバー実験において力学的効果を検討したところ、クエルセチンは相対張力-pCa関係と最大張力発生能に影響を与えない結果となり、クエルセチンはカルシウム感受性と最大収縮力を変化させない薬剤ということを証明できた。
そこで、細胞内カルシウムトランジェントが増強する機序を探るため、サルコメア関連タンパクとそのリン酸化に関する定量をマウス心筋細胞を用いて行った。心筋トロポニンIのリン酸レベルはクエルセチンの濃度に関係なく、変化しないという結果となっため、ベータ刺激作用による可能性が低いことを示した。
以上の結果を学術誌に報告し、国際学会において発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた研究計画のほぼ全てを達成することができた。
また学術誌への論文掲載が完了している。
国際学会における発表を行った。

今後の研究の推進方策

心不全モデルマウスを用いた実験を行うことで、実投与によるクエルセチンの効力と心機能の改善率を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 本年度、研究遂行に際し、物品・材料・試料にかかる費用が多くを占めた。
また、論文作成、国際学会発表にかかる費用が多く当初見込んでいた額を超えて使用することとなった。
しかし、研究は当初の計画を超えて進行しているため、研究遂行に必要な額であり、問題ないと考えている。
(使用計画)心不全モデルマウスを用いた実験を遂行する予定であり、さらなるデータの補完のために使用する予定である。

研究成果

(2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 学会発表

  • [雑誌論文] Cardiotonic actions of quercetin and its metabolite tamarixetin through a digitalis-like enhancement of Ca 2+ transients2018

    • 著者名/発表者名
      Hayamizu Kengo、Morimoto Sachio、Nonaka Miki、Hoka Sumio、Sasaguri Toshiyuki
    • 雑誌名

      Archives of Biochemistry and Biophysics

      巻: 637 ページ: 40~47

    • DOI

      10.1016/j.abb.2017.11.009

    • 査読あり / オープンアクセスとしている
  • [学会発表] Cardiotonic actions of quercetin and its metabolite tamarixetin through a digitalis-like enhancement of Ca2+ transients2018

    • 著者名/発表者名
      Kengo Hayamizu, Miki Nonaka , Sachio Morimoto
    • 学会等名
      Biophysical Society 62nd Annual Meeting
    • 国際共著/国際学会である

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公開日: 2018-12-17  

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