研究課題/領域番号 |
16K20105
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高橋 和伸 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40530605)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 麻酔学 / 筋弛緩 / 重症筋無力症 |
研究実績の概要 |
本研究計画目的は,重症筋無力症など神経筋伝達の特徴的な変化を示す病態で,筋弛緩状態の評価指標に及ぼす影響,筋弛緩薬および筋弛緩拮抗薬の作用性に及ぼす影響,および,それらのメカニズムを解明し,これらの病態における最適な筋弛緩状態の評価方法および筋弛緩薬の投与方法と拮抗方法を明らかにすることである. 具体的には,神経筋伝達が変化する各種病態において,①筋肉の単収縮力(T1)と,従来用いられている筋弛緩状態の回復指標である四連反応比(train of four ratio:TOF 比)の関係性,および臨床現場で簡便に用いることができる筋弛緩状態の新たな評価方法の解明,②筋弛緩薬および筋弛緩拮抗薬の作用性変化の原因となる神経筋接合部における機序と最適な筋弛緩拮抗方法の解明の2 つである. 平成28年度は重症筋無力症,イートン・ランバート筋無力症,敗血症モデルを作製し,TOF 比の信頼性と筋弛緩薬,筋弛緩拮抗薬の作用性変化を評価することを目的とした.結果は順調に得られており,それぞれの病態モデルで各種の筋弛緩状態とTOF比の関係性が変化することが判明しており,このデータは,それぞれの病態でTOF比の信頼性と筋弛緩薬,筋弛緩拮抗薬の作用性が変化していることを示す重要な基礎データとなる. 現在,平成29年度に予定していた研究計画である,各病態の重症度の違いが,TOF 比とT1 の関係性に与える影響の機序を細胞内微小電極法を用いた電気生理学的実験で解明すべく研究を遂行している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各病態モデルで各種の筋弛緩状態とTOF比の関係性が判明した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究目標は各病態の重症度の違いが,TOF 比とT1 の関係性に与える影響や,筋弛緩薬と筋弛緩拮抗薬の作用に及ぼす影響の機序を解明することである.各病態で筋弛緩状態とTOF比の関係性が変化することは確認できたため,それぞれの機序を明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
収縮生理学的が順調に進行し,ラット使用予定数および使用抗体量が予定より少なくなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
電気生理学研究では,筋が萎縮した病態モデルではデータを得ることが難しいことが判明した.そのため,ラットおよび病態モデル作製のための抗体・薬剤を予定より多く必要とすることが想定される.
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