研究課題/領域番号 |
16K20106
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
数馬 聡 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20722060)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | グリコカリックス / アルブミン / セボフルラン / 血管内皮依存性弛緩反応 |
研究実績の概要 |
グリコカリックスに対するアルブミンの保護効果の検討として,ラット胸部下行大動脈を用い,虚血再灌流障害モデルとして過酸化水素の暴露を行い,グリコカリックスを障害させた.この暴露処理の結果,血管内皮依存性弛緩反応は減弱することを確認し,その後アルブミン,もしくはセボフルランの存在下での弛緩反応の回復効果を比較検討した.さらに,セボフルランに関しては,血管内皮依存性弛緩反応の回復,蛍光標識したレクチン染色におけるグリコカリックスの保護効果,さらに再生効果を確認した.セボフルランの効果に関しては,過酸化水素暴露処理の前に投与してもその保護効果はみられず,グリコカリックス障害後のセボフルランの後処理でのみ,回復効果が得られた.また,この効果を弛緩反応と同様にラット大動脈を用いた免疫組織化学でも同様に確認し,これらの回復効果の促進因子として,グリコカリックスの重要な構成成分であるシアル酸を付加するシアル酸転移酵素ST6Gal-1に注目し,セボフルランがこの因子に影響を与えていることが示唆された.血管内皮依存性弛緩反応に関しては,ST6Gal-1の阻害薬で,セボフルランの回復効果が消失することも確認した.現在アルブミンでもセボフルランと同等の回復効果があることを仮説に検討中である. これらの結果は,2018年度日本麻酔科学会北海道東北支部会,2018年度アメリカ麻酔学会で発表を予定し,また英文雑誌に投稿を予定している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリコカリックスに関して,血管内皮依存性弛緩反応という機能的な側面とともに免疫組織化学に関しても評価,検討できており,これらの手法を使用して,アルブミンに関しても同様に評価を行なうことが可能と判断できる.
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの評価法と同様にグリコカリックスに対するアルブミンの保護効果を検討し,必要があればタンパク解析などの分子生物学的な手法を行なうことも検討している.現時点で研究を遂行する上での問題点はない.
|
次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織化学に使用する抗体を購入し,アルブミン,またはセボフルランが影響を与える酵素に関して検討を追加するため次年度使用額が生じた.これらの免疫組織化学の検討は保護効果の機序を検討するために必要不可欠なものである.
|