研究課題/領域番号 |
16K20109
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
仙頭 佳起 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80527416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Postanesthesia Care Unit / PACU / 院内急変 / In Hospital Emergency / Rapid Response System / レジストリ |
研究実績の概要 |
本研究は、術後の重篤な有害事象の現状を把握し、術後管理の安全性を向上させる対策としてのPACUの有用性を検証することを目的としている。 現状把握の手段として、当初は専用のレジストリシステムを自ら構築することを計画していた。しかしながら、本研究への参加を打診しながら各候補施設の医師と面談を重ねるなかで、本研究が求めているレベルのデータを参加各施設から集めるのは困難であることが明らかになった。すなわち、麻酔科がすべての手術患者の術後経過について把握するためには多大な労力を要し、参加各施設がそこまでの労力を割くことは事実上不可能であり、当初の計画通りに進めた場合にはデータの質が著しく低下し、目的である検証が成り立たなくなることが予想された。 そこで、院内急変対応を要した患者の中から術後患者を抽出する方法に転換できないかを検討した。研究協力者である藤谷氏が立ち上げたRRSオンラインレジストリ(基盤研究C 2012-14年:代表藤谷茂樹)はその後、日本集中治療医学会と日本臨床救急医学会の合同委員会が運営しているが、このレジストリに併設できないかを検討した。これまでに行われた解析では、RRS症例2500例のなかに術後24時間以内の症例が48例含まれていたため、同レジストリから術後SAEsに関するデータを一定量抽出できることが確認された。この結果をSociety of Critical Care Medicine 46th Critical Care Congress(2017.1.21-25, 米国)と第44回日本集中治療医学会学術集会(2017. 3.9-11,北海道)で報告した(論文化準備中)。PACUの有用性を検証することは、連結不能匿名化されたデータからは後方視的な検討はできなかったため、前向き研究のデザインを行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
システム構築が当初計画通り進まなかったので、研究計画書に従って、RRSオンラインレジストリへの併設という計画の変更を行った。当該レジストリは運営が安定しており、参加施設の理解も既に得られているという利点がある。一方で、RRSで院内急変を網羅できていない施設は解析対象から除く必要がある。 当初の研究計画では平成29年3月にはレジストリシステムが構築し終わっている予定だったので、本研究はやや遅れていると言わざるを得ない。しかし、参加施設が既に一定数確保されていることと、レジストリ改編の準備が進んでおり最終調整段階にあることより、大きな遅れとはなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
ウツタイン方式で再編成されることが決定している新しいRRSオンラインレジストリに必要項目を併設し、同レジストリから抽出したデータによって、本研究の目的である「術後の重篤な有害事象の現状把握」と「術後管理の安全性を向上させる対策としてのPACUの有用性検証」を達成していく。 新レジストリは大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)のインターネット医学研究データセンター(INDICE)で構築中である。 詳細は省略するが統計学的に算出した必要症例数が51例であったため、必要な登録期間は18ヶ月を見込んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、オンラインレジストリやホームページの作成が年度内に間に合わなかったからである。
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次年度使用額の使用計画 |
オンラインレジストリやホームページの作成費に加え、広報活動に使用する計画である。
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