研究実績の概要 |
本年度は、直接作用型経口抗凝固薬がPT(トロンビン時間)およびaPTT(活性化部分トロンボプラスチチン時間)測定結果に対する影響を血漿および全血検体の両者で比較した。 ダビガトランによるaPTT用量依存性の延長効果は(0, 20, 50, 100, 200, 500, 1000ng/mL)、全血検体を用いたPoint-of-care装置(POC)[CG02N] および自動凝固分析装置をもちいた標準的血漿測定法の両者で確認できたが、その再現性は血漿測定法で高く、全血測定法でやや劣っていた。また、リバーロキサバンによるPTの延長効果(0, 20, 50, 100, 200, 500, 1000ng/mL)についても全血POC装置および血漿測定法の両者で確認できたが、血漿測定法に使用するPT試薬で誤差が大きい傾向が確認された。ダビガトランおよびリバーロキサバンによる抗凝固活性は組織因子をもちいた蛍光トロンビン生成試験のpeak値に濃度依存性に相関し、また、これはaPTTまたはPTの薬剤反応性とも同様の傾向を示した。 全血検体を使用したPTおよびaPTTを使用することで、標準的な血漿測定法と同様に、直接作用型経口抗凝固薬の薬効モニタリングが可能であることが示唆される。
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