研究課題
前年度に引き続き、本年度には、直接作用型経口抗凝固薬がPT(トロンビン時間)およびaPTT(活性化部分トロンボプラスチチン時間)測定結果に対する影響を血漿および全血検体の両者で比較した。現在開発中であるPoint-of-care装置による全血aPTTテストを用いることで、ダビガトランによるaPTT用量依存性の延長効果を(0-2000ng/mL)in vitroに検出可能であった。これに、ダビガトランの特異的拮抗薬であるidarucizmabを定用量作用させたものでも、同様の研究を行なった。他のトロンボエラストメトリーや全血PTなどと比較して、全血aPTTテストは最も残存するダビガトランによる抗凝固効果の検出に優れていた。このことは、低濃度の組織因子をもちいた蛍光トロンビン生成試験の結果でも確認された。全血検体を使用したaPTTは、直接作用型経口抗凝固薬の薬効モニタリング、および特異的拮抗薬の投与や再投与の判断基準に有用である可能性が示唆される。
3: やや遅れている
治療閾値を大きく超えた中毒域ダビガトランの出血モデルでの拮抗検証において、全血aPTTの測定時間が大きく延長することから、添加検体の乾燥に伴う測定精度の低下が生じた。試薬調整を考慮した対策と手法の確立にやや時間を要している。
さらに検体数を増やすことで、ダビガトランの治療域から異常域濃度の検出、拮抗効果の最適化を全血aPTTで行う手法を確立する。さらには、ダビガトラン濃度と全血エカリン凝固時間の評価をおこなうことで、ダビガトランの薬効評価を可能とする全血エカリン時間法を開発するうえでの基盤的なデータも取得する。
本研究で使用した全血aPTTの測定時間が大きく延長することから、添加検体の乾燥に伴う測定精度の低下が生じた。試薬調整を考慮した対策と手法の確立にやや時間を要していることから、次年度への研究継続を申請した。
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Critical Care Medicine
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10.1038/pr.2017.327
臨床麻酔
巻: 42 ページ: 393-400