研究課題/領域番号 |
16K20114
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
今西 理也 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00570376)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 慢性疼痛 / 脂肪幹細胞 / ラット |
研究実績の概要 |
平成28年度は、まずF344ラットを用いた坐骨神経絞扼モデルの作成手技を習得した。作成開始当初は、モデルとして成立する確率は低かったが、結紮の程度を適切にコントロールすることにより、モデル成立確率は8割程度まで上昇した。術後1週間目で、自発痛測定装置による自発痛測定及びvon Frey testによる刺激痛測定をし、疼痛モデルが成立していることを確認するとともに、自発痛測定装置の使用方法、von Frey testの手技の精度を高めた。 その後、脂肪幹細胞を分離・増殖する手技の習得を図った。F344ラットの鼠径部及び背部から脂肪塊を採取後、コラゲナーゼ等の酵素処理により脂肪幹細胞を遊離し、分離・培養を行った。開始当初は回収率が低かったが、酵素の反応時間等を適切にすることで回収率は改善した。 上記予備実験による実験手技の習得後、本実験を行った。 坐骨神経絞扼モデルを20匹作成し、脂肪幹細胞移植群10匹とコントロール群10匹に分類した。脂肪幹細胞移植には2~5継代させた幹細胞を使用した。自発痛測定装置による自発痛の測定、von Frey testによる刺激痛の測定は3~4日おきに、術後45日目まで行った。その後、疼痛測定が終了したラットの坐骨神経を採取し、移植部中枢、末梢での神経軸索数をカウントした。 現在は、実験結果を集積し、統計学的に解析している。また解析結果に応じて、追加実験を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初1年目に予定していたことは、実験手技の確率と実験結果の集積であり、現在の進行程度と合致する。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、まず実験結果を統計学的に解析する。その結果に応じて、追加実験を行うか検討する。最終的には今年度中の学会発表、論文発表を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、自発痛自動測定装置による疼痛の評価、解析において、専用解析ソフトは必要ないと考えていたが、専用解析ソフトが有用であることが判明したため、これを購入することとした。購入にあたり初年度の直接経費では不足するため、500000円を前倒しで給付していただいた。その後、本格的な実験を開始した。 脂肪幹細胞を培養するにあたり、当初は薬品や資材にコストが発生すると考えていたが、本学で自由に利用可能な薬品や資材で賄うことができたため、これらのコストは発生しなかった。以上の理由から本年度は余剰金が発生することとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在実験結果を集積、解析している最中であり、近日中にデータをまとめる予定である。データに応じて追加実験を行い、今年度中に学会発表、論文作成を行う。 今後かかる経費としては、追加実験用のラット購入費、データ解析費、学会参加費、論文作成費等であり、繰り越し金と本年度予算の合計で賄う予定である。
|