麻酔薬は神経保護作用があるといわれる一方、麻酔薬に長時間暴露されることによる神経毒性については議論がある。麻酔薬の神経毒性は、健常者にも起こりうる可能性もあるが、アルツハイマー病の病態を悪化させる可能性が動物レベルで示唆されているがいまだそのメカニズムは明らかではない。本研究ではiPS 細胞を使う事で、ヒトの神経細胞における麻酔薬の神経毒性誘発機構の解明することを目的とした。 健常者とアルツハイマー患者由来のiPS細胞から誘導した神経細胞にケタミンを暴露させた後、フラックスアナライザーを用いてミトコンドリアの機能解析を行った。健常者、アルツハイマー患者由来どちらの神経細胞でもケタミン暴露の結果、Basal RespirationとATP Productionが減少した。このことからケタミンはiPS細胞から誘導した神経細胞のミトコンドリアの機能を低下させることが示された。
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