• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

CRPSモデルラットにおけるTNF-α阻害薬の低用量局所静脈内投与の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K20120
研究機関福岡大学

研究代表者

柴田 志保  福岡大学, 医学部, 助教 (50708063)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード複合性局所疼痛症候群 / TNF-α / TNF-α中和抗体 / 局所投与
研究実績の概要

本研究は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の病態機序解明と新規治療法確立を目指すものである。平成28年度にはCRPSモデル動物の作成方法を確立するための実験を行い、平成29年度には独自に作成したCRPSモデルマウスに対するTNF-α中和抗体の坐骨神経周囲への局所投与のもたらす効果について検討した。平成30年度には平成29年度までの結果をまとめ、これまでの成果を学会で発表するとともに、より精度の高いデータとするための追加実験を行なった。また、当初は、末梢神経での変化のみを検討する予定であったが、中枢での変化についても考察を加える必要があると判断し、脊髄組織を用いた実験を追加した。
CRPS群では、患肢に腫脹と色調変化が出現し、痛み閾値の顕著な低下が坐骨神経部分結紮(pSNL)処置6週間後まで観察された。TNF-α中和抗体を投与後は痛み閾値が徐々に上昇し、6週間後には対照群レベルまで有意に回復した。pSNL処置のみを行い、ギプス固定は行わなかった神経障害痛モデル群にrecombinant TNF-αを投与すると、痛みの回復が遅れる傾向がみられた。CRPS群の坐骨神経および脊髄の免疫組織染色では、TNF-αのシグナルが増強し、マクロファージの浸潤・活性化が見られたが、TNF-α中和抗体を投与したCRPS群ではそのような炎症反応が抑えられていた。
CRPSモデルでは、ギプス固定により、坐骨神経への物理的圧迫や強制的な不動状態が引き起こされ、神経障害性疼痛が増悪した可能性が考えられた。また、CRPSの発症早期においては、TNF-αを介する炎症性シグナルが重要であることが示唆された。さらに、直接障害されていない脊髄組織においても、発症早期から強い炎症反応が生じていることも、症状を強固にする要因と考えられた。
本研究の一部は、日本麻酔科学会第65回学術集会で発表し、優秀演題に採択された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Perineural expression of TNF-α contributes to long-term mechanical allodynia in CRPS model mice2019

    • 著者名/発表者名
      Shiho Shibata, Hideaki Tagashira, Satomi Kita, Tomo Kita, Sari Suzuki, Ken Yamaura, Takahiro Iwamoto
    • 学会等名
      The 9th Federation of the Asian and Oceanian Physiological Societies Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] 複合性局所疼痛症候群モデルマウスに対するTNF-α中和抗体局所投与の治療効果2018

    • 著者名/発表者名
      柴田 志保、田頭 秀章、鈴木 沙理、喜多 紗斗美、岩本 隆宏、山浦 健
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第65回学術集会
  • [学会発表] Therapeutic efficacy of TNF-a neutralizing antibody in Complex Regional Pain Syndrome (CRPS) model mice2018

    • 著者名/発表者名
      Shiho Shibata, Hideaki Tagashira, Satomi Kita, Sari Suzuki, Ken Yamaura, Takahiro Iwamoto
    • 学会等名
      18th WORLD CONGRESS OF BASIC AND CLINICAL PHARMACOLOGY
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi