本研究は、原因不明の難治性疼痛疾患であるCRPSの新しい治療の開発を目指すものである。慢性疼痛の形成と維持に深く関わっている可能性が示唆されているTNF-αを阻害することは、CRPSの症状を劇的に改善し、重症化を防ぐことが予想される。TNF-α阻害薬の全身投与は免疫低下による合併症のリスクを伴うが、低用量の局所投与であれば、合併症発生リスクを軽減し、より安全に治療できる可能性がある。さらに、他の難治性慢性疼痛への応用も可能かもしれない。慢性疼痛によって生じる経済的、社会的損失は世界的にも問題視されており、社会的意義の高い研究であると思われる。
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