研究課題/領域番号 |
16K20121
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
加藤 真也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (50527413)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 近赤外線分光法 / 脳血流量 / インドシアニングリーン |
研究実績の概要 |
くも膜下出血後の脳血管攣縮の診断は血管造影を用いた解剖学的な血管径の評価、pCTやMRIなどを用いた脳灌流画像による低灌流の部位の評価、経頭蓋ドプラ(TCD)を用いた脳血流の評価といった方法がある。その中でも脳灌流画像が脳血管攣縮の診断に有用であることが報告されている。しかし、CTやMRI検査は何らかの臨床症状を呈した場合に行う場合が多く、ルーチン検査としては行いにくい。重症患者の移動はリスクを伴うことや複数回の撮影では放射線被ばくや医療経済への負担となる。TCDは簡便ではあるが検出率が63%とされ、その検出率が欠点となっている。 近赤外線分光法とインドシアニングリーン(ICG)を用いた脳血流量測定では、相対的な脳血流量であるBlood Flow Index(BFI)を測定することができる。我々は内頸動脈内膜剥離術での頸動脈遮断操作中に相対的な測定値ではあるが、脳血流低下を検出することができた。 さらにこれまではBFIという相対的な脳血流量しか測定できなかったが、BFIの測定法を改良して定量的な局所脳血流(rCBF)の測定法の確立に取り組んでおり、その測定法もほぼ確立された。rCBFは左右の血流の差を検出することができることがわかった。本研究ではベッドサイドで近赤外線分光法を用いた定量的な脳血流測定をくも膜下出血患者でルーチンに施行することで、症状が出る前に早期に脳血管攣縮を発見できる可能性があると考えられる。本研究では近赤外線分光法を用いた脳血流測定によりくも膜下の出血後の脳血管攣縮を検出できるか調べることとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに13例の症例対象として解析を行っている。当初の想定しているよりも、くも膜下出血の症例が多くないことが原因として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
このままくも膜下出血の患者を対象として、研究をすすめていく。 また、本研究で用いている近赤外線分光法を用いた脳血流の定量測定法に関して、特許をとることができた。その方法に関するデータで現在論文化を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は想定していた症例数より少ない症例しか解析できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は研究を継続していくことと、解析結果を国際学会および論文化していく予定であり、そのための経費として使用する予定である。
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