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2016 年度 実施状況報告書

尿路上皮癌微小転移に対するAKR1C1を標的とした治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K20122
研究機関北海道大学

研究代表者

松本 隆児  北海道大学, 医学研究科, 客員研究員 (10762536)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード尿路上皮癌 / AKR1C1 / 微小転移
研究実績の概要

本研究の目的は、術前抗癌剤治療にAKR1C1 を標的とした治療を追加することによって、原発巣に対する効果増強のみならず、リンパ行性あるいは血行性微小転移を減らせる可能性があることから、AKR1C1 を標的とした尿路上皮癌に対する新しい治療法の基盤を築くことである。以下にこれまでの研究実績の概要を示す。
1. 膀胱癌細胞株におけるAKR1C1 阻害剤の抗癌剤増強効果
マウス同所性移植転移モデルを用いて分離培養した膀胱癌細胞株の肝・骨転移細胞において、AKR1C1阻害剤であるフルフェナム酸10μM投与によるシスプラチンの効果増強を確認している。また、マトリゲルインベージョンアッセイによって細胞浸潤能を抑制することを確認している。一方他のAKR1C1阻害剤であるフェノールフタレイン投与では、シスプラチンの効果増強は認めなかった。現在メフェナム酸をはじめ数種のAKR1C1阻害剤を購入して、膀胱癌細胞株に対する抗癌剤増強効果を検討する準備を進めている。
2. 尿路上皮癌におけるAKR1C1 発現変化に関する研究
尿路上皮癌に対して根治手術を行いリンパ節転移を認めた症例と転移巣切除を施行した症例、計25例に免疫組織化学染色によるAKR1C1 発現の評価を行った。結果25例中17例で転移巣でのAKR1C1発現亢進を認め、Mann-Whitney U-testを用いて検討した結果統計学的有意差を認めた。今後、術前化学療法が行われた症例の臨床検体を用いて、化学療法に伴うAKR1C1の発現変化についても調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

膀胱癌細胞株および膀胱癌シスプラチン耐性株に対してシスプラチンといくつかのAKR1C1阻害剤の併用効果を検討する予定であったが、薬剤の準備ができておらず当初の研究計画よりは遅れているのが現状である。

今後の研究の推進方策

Luciferase-2が組み込まれた浸潤性膀胱癌細胞株による同所性移植マウスモデルを用いて、シスプラチンとAKR1C1阻害剤の併用効果を検証する実験を予定している。具体的には、適切な投与スケジュールを確認した後に薬剤併用効果を検討したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた細胞実験が予定通り進んでおらず、使用予定の薬剤を購入していないため。

次年度使用額の使用計画

次年度にその実験を予定しており、そのため次年度使用額が生じている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Outcome of metastatic urothelial carcinoma treated by systemic chemotherapy: Prognostic factors based on real-world clinical practice in Japan.2017

    • 著者名/発表者名
      Abe T, Ishizaki J, Kikuchi H, Minami K, Matsumoto R, Harabayashi T, Sazawa A, Mochizuki T, Chiba S, Akino T, Murakumo M, Miyajima N, Tsuchiya K, Maruyama S, Murai S, Shinohara N.
    • 雑誌名

      Urol Oncol.

      巻: 35 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.urolonc.2016.08.016.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Aldo-keto reductase 1C1 induced by interleukin-1β mediates the invasive potential and drug resistance of metastatic bladder cancer cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto R, Tsuda M, Yoshida K, Tanino M, Kimura T, Nishihara H, Abe T, Shinohara N, Nonomura K, Tanaka S
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/srep34625.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Role of surgical consolidation in metastatic urothelial carcinoma.2016

    • 著者名/発表者名
      Abe T, Matsumoto R, Shinohara N
    • 雑誌名

      Curr Opin Urol.

      巻: 26 ページ: 573-580

    • DOI

      10.1097/MOU.0000000000000329.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ロボット支援前立腺全摘除術後PSA再発に関する検討2016

    • 著者名/発表者名
      松本隆児、間山郁美、小山敏樹、柏木明、熊谷章
    • 学会等名
      第30回日本泌尿器内視鏡学会総会
    • 発表場所
      ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-19
  • [学会発表] 膀胱全摘術における拡大リンパ節郭清の意義2016

    • 著者名/発表者名
      松本隆児、安部崇重、高田徳容、三浪圭太、原林透、永森聡、宮島直人、土屋邦彦、丸山覚、篠原信雄
    • 学会等名
      第104回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-04-23 – 2016-04-25
  • [学会発表] 進行性尿路上皮癌の治療戦略 Oligometastasisに対する転移巣切除術2016

    • 著者名/発表者名
      松本隆児、安部祟重、石崎淳司、大澤崇宏、菊地央、丸山覚、土屋邦彦、宮島直人、篠原信雄
    • 学会等名
      第104回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-04-23 – 2016-04-25

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公開日: 2018-01-16  

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