研究課題
微小循環障害モデルを作成し、下部尿路への影響を評価する。さらに治療的介入を行って、その対策を立案する。第一の段階として、高血圧ラットを用いて冷え頻尿モデルを作成した。高血圧は慢性の末梢微小循環障害で、冷えにより誘発される頻尿は、神経反射と血管収縮による急性の循環障害である。高血圧ラットにおける冷えストレス頻尿が確認された。また、大建中湯は冷え・便秘に効能がある漢方薬である。大建中湯には血流増進効果、頻尿改善効果が報告されている。大建中湯を経口投与したラットと、コントロールのラットを比較し、冷えストレスに対する大建中湯の治療的役割の検討を行った。冷えに対し、大建中湯を与えたラットでは、頻尿の程度が弱く、免疫染色でTRPV1(頻尿に関わるTRPチャンネルのサブチャンネル)の発現が増加していた。今後、血流のおける役割を、レーザー測定装置を用いて評価を行う。また、第二の段階として炎症を介した微小循環障害の作成中である。酢酸を膀胱注入し、炎症・浮腫を誘発して血流障害を起こす。抗炎症作用のある薬剤の投与を行って、血流改善と頻尿改善の様子を調査する。炎症モデルは病気のあるラットではなく、SD雌ラットを用いる。微小循環の様子を、レーザー血流装置を用いて、定性的かつ定量的に評価を行い、微小循環障害と下部尿路の関わりを明らかにする。消炎作用のある漢方薬(猪苓湯)を用いて、治療介入を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
おおむね実験計画書に沿って行われているが、新規の機械導入に当たり、実験プロトコールの再確認が必要であり、今後進行が遅れる可能性もある。
これまでの研究で、冷えストレスとTRPチャンネルの関連が確認された。大建中湯を用いた冷えーストレス(微小循環障害)モデルでの治療的役割が示されつつある。今後、さらにモデルの幅を広げて、血流障害を多面的に評価できる体制を整える。測定する実験系を増設中で、血流測定を直接的に行って、さらに説得力の有るデータを収集する。
機器の整備で予定額のほとんどを使用したが、消耗品が予想より少なかった。
次年度使用額は平成29年度請求額と併せて消耗品費として使用する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Neurourol Urodyn
巻: 36 ページ: 1026-1033
10.1002/nau.23061
BMC Complement Altern Med.
巻: 16 ページ: 513
10.1186/s12906-016-1494-1
J Med Ultrason
巻: 43 ページ: 443-448
10.1007/s10396-016-0699-8