研究実績の概要 |
<対象と方法>gA腎症レシピエント21例、IgA沈着症を認めたドナー16例、IgA沈着症を認めなかった健常ドナー17例を対象とした。移植前保存血清よりIgAのヒンジ領域のみを抽出し、脱シアル化したのち、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法で測定した。GalNAc,Galの組み合わせごとに総イオン化数に占める各イオン化数を%として評価し、3群間を比較した。 <結果>1.測定されたmass spectraの1例をFig.1に示す。測定されたm/zの値から結合している糖鎖の結合数を算出する2.IgANで増加しているとされるGalが欠損しGalNAcが露出したGalactose-deficient IgA1(Gd-IgA1)の割合は3群間で有意差は認めなかった3.1ヒンジ領域に結合しているGalNAcの結合数が4,5,6の割合は3群間で有意差を認めた。 4.測定された質量分析の結果から、3群間を予測する予測式をordinal logistic regression analysisより作成し、糖鎖解析による診断能を解析すると、AUC=0.8983,0.9221と良好であった。 <結語>IgA腎症、IgA沈着症、健常人の3群間の血清IgAヒンジ領域のO型結合糖鎖に相違点があることが初めて解析された。またこれを利用した予測式により高い正診率を示し、リキッドバイオプシーとしての可能性が示唆された。
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