研究課題/領域番号 |
16K20140
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木内 利郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30747069)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腎癌 / 末梢血液細胞 / 遺伝子 / PAXgene / 診断 / マーカー / RNA |
研究実績の概要 |
腎癌の新たな血液バイオマーカーの探索のため、2013年に大阪大学附属病院で腎癌と診断された患者12例および健常者12例からそれぞれPAXgeneというRNAを安定化剤を添加した採血管を用いて採血・RNAの抽出を行い、Gene Chip 2.0(Affimetrix社)マイクロアレイを用いた末梢血液細胞の遺伝子発現解析を行った。 マイクロアレイより簡便、安価な定量的PCR法を用いた診断ツールの創生を目標とし、一定の基準にて腎癌患者において特異的に発現変化する15の遺伝子を同定した。13遺伝子が腎癌患者で上昇し、2遺伝子が腎癌患者で低下していた。定量的PCR法を用いてマイクロアレイと同様の結果が得られることを確認し、その中でROC解析にて最も診断予測能が高かった遺伝子に着目した。別のコホート(2013-2016年に大阪大学附属病院で腎癌と診断された患者130例および健常者50例)を用いてその診断予測能を検証したところ、この遺伝子は腎癌患者において健常者に比べ有意に発現上昇しており、ステージが進行するにしたがって発現上昇していた。そしてROC解析にてAUC 0.722と腎癌の診断に有用であった。また小径腎癌の末梢血液細胞においても同様に健常者に比し発現上昇していた。COX比例ハザードモデルによる多変量解析にて、末梢血液細胞におけるこの遺伝子の発現は独立した腎癌の診断予測因子であった。 以上より末梢血液細胞におけるCXCL7の発現は腎癌の新規血液バイマーカーになりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎癌患者および健常者の末梢血液細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行うことで腎癌患者で有意に発現上昇している遺伝子を同定し、別のコホートを用いて同様の結果が得られることを確認した。またこの遺伝子は小径腎癌においても発現上昇しており腎癌の新たな血液バイオマーカーとなりうることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
この遺伝子の術後の発現が低下するかどうかを検証する。またin vitroの実験によって腎癌の存在により末梢血液細胞においてこの遺伝子が同様に発現上昇するかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張が延期になった為。
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次年度使用額の使用計画 |
延期している出張に旅費として使用予定
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