研究課題
重合OPNの検討として、追加実験としてエチレングリコールの自由引水により結石を形成させたラットで、結石モデルを作成させ重合OPNの存在を調べた。しかしながらWestern blotでは80kD以上のバンドは出ず、重合OPNの発現が見られず、結石形成過程において結石中のOPNはモノマーで存在している可能性が示唆された。次に結石形成過程におけるオートファジーの検討として、シュウ酸Ca結晶を尿細管細胞に添加して調べた。GFP-RFP-LC3 (tfLC3) を細胞にトランスフェクションし、決勝点化による活性を評価したところ、シュウ酸Caの添加でオートファジーは早期で一時的に亢進するが、有意差は示さなかった。さらに6時間以上暴露させると有意にオートファジーが低下した。細胞内のリソソームの傷害を、酸性化障害はLysotrackerを用いて、膜障害はGalectine-3の免疫染色で検討した。結晶添加により、リソソームの酸性化障害、膜障害を認めた。これら障害リソソームは、ユビキチン化されており、オートファジーにより選択的に処理されている可能性が示唆された。次にマウスでの結石形成過程でのオートファジーの活性を調べるため、オートファゴソーム可視化マウス(LC3 transgenic mice)を用いた。結石形成を認めるマウスではLC3のdotsが有意に低下し、透過型電子顕微鏡でも同部位に一致して、多数の傷害を受けたリソソームやミトコンドリアを認めた。オートファジー活性の低下をしらべるため、オートファジーを上流で制御するmTOR活性と転写因子であるTFEBの発現で検討した。結石形成過程においてmTOR活性は上昇し、TFEBの核内移行が阻害されており、それによりオートファジーが低下することを見出した。
2: おおむね順調に進展している
In vitro, In vivo実験とも、結石形成過程において、重合OPNの発現が見られず、OPNはモノマーで存在している可能性が示唆された。そのため、OPN重合阻害薬を用いた結石予防は難しいと判断した。オートファジーの研究については順調にいっている。培養細胞・動物モデルとも、mTOR亢進とTFEBの核内移行の阻害によりオートファジーが低下することがわかった。
mTOR亢進とTFEBの核内移行の阻害によりオートファジーが低下し、それにより結石形成が促進することがわかったため、mTOR阻害薬を用いたオートファジー活性による結石予防効果の検討を行っていく予定である。
オートファジー制御薬による結石予防効果の検討を行うため。また、日本泌尿器科学会総会、アメリカ泌尿器科学会での発表も採択され行う予定である。
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