• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

重合OPNとオートファジーの働きに着目した尿路結石予防薬開発のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K20153
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

海野 怜  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (40755683)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード尿路結石 / オートファジー
研究実績の概要

重合OPNの検討として、追加実験としてエチレングリコールの自由引水により結石を形成させたラットで、結石モデルを作成させ重合OPNの存在を調べた。しかしながらWestern blotでは80kD以上のバンドは出ず、重合OPNの発現が見られず、結石形成過程において結石中のOPNはモノマーで存在している可能性が示唆された。
次に結石形成過程におけるオートファジーの検討として、シュウ酸Ca結晶を尿細管細胞に添加して調べた。GFP-RFP-LC3 (tfLC3) を細胞にトランスフェクションし、決勝点化による活性を評価したところ、シュウ酸Caの添加でオートファジーは早期で一時的に亢進するが、有意差は示さなかった。さらに6時間以上暴露させると有意にオートファジーが低下した。細胞内のリソソームの傷害を、酸性化障害はLysotrackerを用いて、膜障害はGalectine-3の免疫染色で検討した。結晶添加により、リソソームの酸性化障害、膜障害を認めた。これら障害リソソームは、ユビキチン化されており、オートファジーにより選択的に処理されている可能性が示唆された。
次にマウスでの結石形成過程でのオートファジーの活性を調べるため、オートファゴソーム可視化マウス(LC3 transgenic mice)を用いた。結石形成を認めるマウスではLC3のdotsが有意に低下し、透過型電子顕微鏡でも同部位に一致して、多数の傷害を受けたリソソームやミトコンドリアを認めた。
オートファジー活性の低下をしらべるため、オートファジーを上流で制御するmTOR活性と転写因子であるTFEBの発現で検討した。結石形成過程においてmTOR活性は上昇し、TFEBの核内移行が阻害されており、それによりオートファジーが低下することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

In vitro, In vivo実験とも、結石形成過程において、重合OPNの発現が見られず、OPNはモノマーで存在している可能性が示唆された。そのため、OPN重合阻害薬を用いた結石予防は難しいと判断した。オートファジーの研究については順調にいっている。培養細胞・動物モデルとも、mTOR亢進とTFEBの核内移行の阻害によりオートファジーが低下することがわかった。

今後の研究の推進方策

mTOR亢進とTFEBの核内移行の阻害によりオートファジーが低下し、それにより結石形成が促進することがわかったため、mTOR阻害薬を用いたオートファジー活性による結石予防効果の検討を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

オートファジー制御薬による結石予防効果の検討を行うため。
また、日本泌尿器科学会総会、アメリカ泌尿器科学会での発表も採択され行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 選択的オートファジーにより腎結石形成は抑制される2018

    • 著者名/発表者名
      海野 怜、川端 剛、高瀬 弘嗣、内木 拓、濵本 周造、安藤 亮介、岡田 淳志、戸澤 啓一、吉森 保、安井 孝周
    • 学会等名
      第27回泌尿器科分子・細胞研究会
  • [学会発表] Autophagy's protective roles for kidney stone formation.2017

    • 著者名/発表者名
      Unno Rei, Sugino Teruaki, Taguchi Kazumi, Hamamoto Shuzo, Ando Ryosuke, Endo Sumio, Okada Atsushi, Sakakura Takeshi, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro, Yasui Takahiro
    • 学会等名
      第105回日本泌尿器科学会総会
  • [学会発表] Autophagy maintains cellular homeostasis and inhibits renal crystal formation2017

    • 著者名/発表者名
      Unno Rei, Unno Naoko, Ota Yuya, Sugino Teruaki, Taguchi Kazumi, Hamamoto Shuzo, Ando Ryosuke, Okada Atsushi, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro, Yasui Takahiro
    • 学会等名
      American Urological Association Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] オートファジー亢進により腎結石形成は制御される2017

    • 著者名/発表者名
      海野 怜、杉野 輝明、田口 和己、藤井 泰普、濵本 周造、安藤 亮介、岡田 淳志、戸澤 啓一、郡 健二郎、安井 孝周
    • 学会等名
      第60回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] 腎結石形成過程における選択的オートファジーの機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      海野 怜、杉野 輝明、田口 和己、廣瀬 泰彦、伊藤 靖彦、濵本 周造、安藤 亮介、岡田 淳志、戸澤 啓一、郡 健二郎、安井 孝周
    • 学会等名
      日本尿路結石症学会第27回学術集会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi