研究課題
膀胱癌細胞株を用いて、LSD1阻害剤としてNCL1およびNCD38を投与し、WSTアッセイで生存細胞数を評価したところ、いずれの細胞株においても濃度依存的な細胞数の抑制を認めた。また、オートファジー阻害剤としてはクロロキンを用いて同様にWSTアッセイを行ったところ、濃度依存的な抗腫瘍効果を認めた。さらに、LSD1阻害剤とクロロキンの併用効果について、WSTアッセイを用いてCombination index法で検討したところ、相加的、一部相乗的な抗腫瘍効果が得られることが確認された。ウェスタンブロットではアポトーシスの誘導とオートファジーの誘導が確認されたが、細胞周期関連蛋白の発現変化は明らかではなかった。また、公共データベースThe Cancer Genome Atlasを用いて、膀胱癌症例におけるLSD1のRNA発現量ならびに予後を検討した。膀胱癌組織では、正常膀胱組織よりもLSD1の発現が有意に高かった。これは予想された結果と一致していた。しかし、膀胱癌症例の中では、LSD1高発現の症例は予後が良いという結果を得、これは予想した結果と相反していた。そこで臨床検体におけるLSD1発現の意義の検討のため、名古屋市立大学病院で膀胱全摘除術もしくは経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行した臨床検体の免疫染色を行い予後との相関を解析したが、LSD1の発現と予後との明らかな関連を認めなかった。さらに進達度や組織学的異型度とLSD1の相関を追加解析したが、有意なものはなかった。動物モデルにおける効果の検討はやや遅れているが、動物モデルの作成は本研究期間内に確立し、またLSD1阻害剤とオートファジー阻害剤の投与のプレリミナリー実験を行い、継続投与が行える投与量や投与間隔を決定することができた。これらの成果を生かし、平成30年度においても、引き続き動物モデルを用いた研究を行っていく予定である。
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