研究課題/領域番号 |
16K20155
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
片岡 智哉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (20737928)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠不足 / 性機能障害 / テストステロン |
研究実績の概要 |
本研究では慢性的時差ボケ(CJL)処理による睡眠障害モデルラットを作成し、「睡眠障害が性機能へ及ぼす急性期の影響」および「小児期における睡眠障害が将来の性機能へ及ぼす影響」の2つの視点から、性ホルモン等の内分泌系の関与にも着目して評価することを目的とした。通常、ラットは12時間毎の明暗サイクル下で飼育されるが、本研究では明暗サイクルを2日毎に8時間前進させる処理を行う慢性的時差ボケ(CJL)処理を行い、睡眠障害モデル動物を作成した。本研究では、4週齢の雄性Wistar/STラットを用い、通常の12時間毎の明暗サイクル下で飼育するControl群とCJL処理下で飼育するCJL群を作成し、1,2,4週間を研究期間とした。 各観察期間終了時点において海綿体内圧(ICP)測定を行い、ICP/MAPを用いて勃起機能を評価した。CJL処理の1週後ではICP/MAPが0.81±0.12であり、変化は見られなかった。また、2週後では0.73±0.12であり変化しなかったが、4週後では0.35±0.05と有意な低下が観察された。 さらに、小児期における睡眠障害が将来の性機能へ及ぼす影響を調べるため、4週間CJL処理を行い、その後4週間は12時間毎の通常の明暗サイクル下で飼育したところ、ICP/MAPは0.47±0.05と改善が見られなかった。しかし、通常の明暗サイクルを8週間行ったところ、ICP/MAPが0.81±0.02と有意な改善が観察された。 今後は薬理学的評価、組織学的評価、分子生物学的評価、および生化学的評価を行い、CJL処理により勃起機能低下が引き起こされたメカニズムを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットを用いた機能評価の結果より、慢性的時差ボケ(CJL)処理を行うと2週目までは変化が見られなかったが、4週後に勃起機能の低下が観察された。さらにCJL処理後に通常の明暗サイクルに戻し、低下した勃起機能の回復可能性を検討した。すると4週間の通常の明暗サイクルでは改善しなかったが、8週間では改善が見られた。 計画当初は4週間の通常の明暗サイクルでも改善があると予想していたが、改善しなかったため、さらに8週間に延長した群を作成し、検討したところ改善することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は薬理学的評価、組織学的評価、分子生物学的評価、および生化学的評価を行い、慢性的時差ボケ(CJL)処理により勃起機能低下が引き起こされたメカニズムを明らかにする。
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