研究実績の概要 |
今回我々は各種前立腺がん細胞株 (PC3, DU145, VCaP, 22Rv1, LNCaP, LNCaP95,) を用いてIL-6/JAK/STAT3 およびEGF/MAPK pathway signalの基礎活性状態をWestern blotで評価したところ、まずDU145 および LNCaP95がMAPKの恒常的リン酸化シグナルを有していることを認めたことから、これら2種の細胞株に対して選択的MAPK阻害剤 (selumetinib, trametinib)を投与した。これら2剤はいずれの細胞株においてもpMAPKの発現を有意に低下させたが、MTT assayでは細胞増殖抑制効果を認めなかった。この結果から、CRPCにおいてMAPKのシグナルは細胞増殖の観点からはこれまでに報告されているほど重要ではないことが示唆された。次にSTAT3のリン酸化シグナルの基礎状態を各細胞で評価したところ、IL-6の刺激のない状態ではDU145細胞のみが恒常的にpSTAT3の発現を認めたため、CRPC株であるLNCaP95とDU145をそれぞれIL-6 (50 ng/ml)で刺激し、STAT3のリン酸化シグナルを活性化することとした。さらにSTAT3阻害剤であるS3I-201、stattic, SH4-54で条件検討を行っている段階である。
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