研究課題
平成28年度の研究実績として、1:これまでに樹立した第5世代肺転移株を用いて親株と高転移株の網羅的遺伝子発現解析を行い、発現変動がみられたmiRNAの絞り込みを行った。2:1で得られたmiRNAリストより、文献検索などで転移および浸潤に関連するだろうmiRNAを絞り込み、それらmiRNAをKOするためのCRISPRライブラリを構築した。3:CRISPRライブラリを構築するにあたりCas9 Nucleaseおよび変異型Cas9 Nickaseそれぞれを用いて、最もmiRNAをKOした際のoff target効果について検討し、Nickaseベースの標的miRNA KO細胞株を構築した。以上3点が挙げられる。詳細について以降に記す。1について、親株と比較して高転移株2種と共通して発現変動が2倍以上みられたmiRNAは23個みられており、これらmiRNAを標的としてKOする2:CRISPRライブラリの構築を開始した。ライブラリ構築にあたり、最終目的であるstable KO細胞株を構築するためにCRISPRによるゲノム編集とHR TargetingによるRFP発現遺伝子カセットの導入を行い、CRISPRおよびHRベクターの遺伝子導入後、フローサイトメーターによるRFP発現細胞をソーティングした。その後、CRISPR標的領域のシークエンシングおよび標的遺伝子の発現量解析を行った。KO株の構築の際、明らかな細胞形質の変化がみられたため、3:CRISPR nucleaseおよびCRISPR nickaseそれぞれを用いてそのoff target効果および細胞形質の変化について検討し、miRNAを標的とした本研究においてはnickaseを用いることが適当であることが確認できた。以上の結果を踏まえ、CRISPR nickaseおよびHRベクターによるKO構築系を本試験では選択し、3つのmiRNAをKOした細胞株をそれぞれ構築することができた。これらの研究成果は概ね計画通り順調に進んでおり、平成29年度の研究によりKO細胞株のin vitroにおける評価、さらに動物移殖系によるin vivo評価まで研究を進めたいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
これまでに、我々が樹立した腎原発肺高転移癌細胞株において親株と比較して高い発現を示すmiRNAを同定し、それらを特異的にKOするCRISPRライブラリの構築、KO細胞株の樹立まで順調に進行できている。おおむね、当初の計画・目標通りに進行できており、順調に進展しているといえる。
平成28年度に構築したKO細胞株を用いたin vitroにおける細胞集団形成およびprotrusion lengthの評価を野生株と比較して行う。さらに、in vitroで野生株と比較して明らかな変化がみられたKO細胞株について、ラット腎被膜下への移植を行い、腎被膜下への生着能および肺への転移能について比較・検討をおこなう。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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