研究課題/領域番号 |
16K20170
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
白澤 弘光 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (60598019)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体外成熟培養 / 単為発生 / コヒーシン蛋白 / 卵子凍結 / 次世代シーケンサ / タイムラプス |
研究実績の概要 |
本年度は45歳以下で同意を得られた子宮体がんIA期症例が少なく、昨年度までの5症例未成熟卵子55個におけるデータ解析を主に施行した。 タイムラプスデータを用いて未成熟卵子の成熟過程における第1極体放出タイミングにより、その後の単為発生過程における単為発生由来胚盤胞到達割合を検討した。また第1卵割前の前核持続時間、Reverse cleavage, Direct cleavageの有無が単為発生成績に与える影響を検討している。現時点での結果として体外成熟培養過程における第1極体放出のタイミングが、その後の胚盤胞到達割合に関与することが有意に示されており、タイムラプスにより得られているその他の因子が与える影響については解析を継続している。 これらの知見はヒト卵子凍結を施行する際に、GV期、MI期、MII期それぞれのタイミングで凍結-融解処理を行うことが適切であるか、その後の染色体異常発生に関するコヒーシン蛋白染色、次世代シーケンサーを用いた異数性発生有無の検討につながるものである。本年度は体外受精の際に生じる廃棄胚盤胞を用いて次世代シーケンサの運用を行い、栄養外胚葉、胚全体における異数性検出の成績についても検討を行っており、現在データ解析処理中である。 体外成熟培養については未成熟卵から成熟卵に至るmaturation rateは50%以上であり、非刺激下摘出卵巣から得た未成熟卵子をマテリアルとしている中で、国内外の報告と同等の成績を得ている。 症例数を追加し更に検討を行うため2019年度まで1年間研究期間を延長し解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においてはヒト未成熟卵子のマテリアル確保の一つとして若年子宮体がん患者の協力を必要とする。本研究施設における手術症例数が減少しており、マテリアル確保が課題となっている。 一方で本研究において重要な次世代シーケンサを用いた異数性検出に関しては、研究施設内におけるプロトコールが確立されており、データが蓄積されており進捗は順調である。 研究成果においては英語論文、国際学会発表、国内発表などを継続しており、今後も継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題としてはヒト未成熟卵子をマテリアルに、成熟過程、単為発生過程で凍結-融解という介入を行い各群で検討を行うためマテリアル確保が課題である。現状の成績としては成熟率56%、単為発生胚盤胞到達率7.1%であり、10症例以上の症例確保が望ましく、子宮体がん患者における摘出卵巣由来卵子を当院、協力施設から得ることで研究推進を行う。 また蛍光免疫染色によるコヒーシン蛋白、Oct4、Cdx2などの検出においては電界撹拌を用いた迅速免疫染色装置を活用していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度において子宮体がん患者症例が少ないため、体外成熟培養キットなどの試薬使用量が少なく研究に若干の遅れを認めた。そのため助成金に対しては研究期間延長の2019年度に使用し、子宮体がん症例における体外成熟培養、卵子および胚盤胞凍結の際のキット、蛍光免疫染色などに使用する予定である。
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