研究実績の概要 |
本研究では5人の子宮体癌患者より回収した55個の未成熟卵子に対して体外成熟培養を施行する過程で、タイムラプスイメージングを用いて第1極体放出過程のタイミングを観察した。体外成熟培養は24時間時点、48時間時点で第1極体放出について評価を行い、第1極体を放出した成熟卵子に対しては、続いて単為発生刺激を行い、同過程もタイムラプスにて観察を行った。 24時間以内に第1極体を放出した早期放出群、24~48時間で第1極体を放出した後期放出群の2群に分割し、その後の単為発生成績を比較評価した。 結果として50個の未成熟卵子の内28個(56.0%)が成熟し、早期放出群(n=15)、後期放出群(n=13)に分割された。単為発生については2細胞、8細胞、桑実胚について卵割程度を評価し、早期放出群では2細胞以上は33.3%、8細胞以上は0%であったのに比して、後期放出群でぇあ2細胞以上は46.2%、8細胞以上は30.8%、桑実胚以上は15.4%と、後期放出群で有意に単為発生成績が良好であることを確認した。 また、成熟卵に対しては単為発生刺激を行った後に、Oct-4, Cdx-2, 染色体について蛍光免疫染色を施行し、単為発生由来ヒト胚盤胞において胞胚腔の確認、Oct-4の発現を確認している。 本研究によって、体外成熟培養における第1極体放出のタイミングが、その後の単為発生成績に影響を与えることを初めて明らかにした。
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