• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

胎生期低栄養後の肥満発症リスクの低減を目指した新たな介入方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K20185
研究機関浜松医科大学

研究代表者

幸村 友季子  浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (80537415)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード胎生期低栄養 / 小胞体ストレス / TUDCA / catch up
研究実績の概要

疫学研究から胎生期低栄養環境を経験した場合、出生後にメタボリックシンドローム(MS)発症のハイリスク群となると報告されている。我が国において妊孕世代のやせが増加し、胎生期に低栄養に曝されている児が少なからず存在すると考えられる。また生後の飽食の環境というmismatchにより、児の将来のMS罹患率が上昇することが危惧されている。しかし有効な予防戦略は充分に立案されていない。本研究計画では、胎生期低栄養マウス動物実験にて、小胞体ストレスと脂肪細胞の増殖性リモデリングの関連を解明し、小胞体ストレス緩和剤の投与での肥満改善効果を検討し、将来のMSの予防策を立案する基礎的な検討を行うことを本研究の目的とす。
1.胎生期低栄養マウスモデルにおける小胞体ストレス応答の検討;胎生期低栄養マウスモデルにおいて、成長後の皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織において、小胞体ストレス応答のマーカーであるp-eIF2α/eIF2α、p-IRE1α/ p-IRE1α、CHOP、XBP1スプライシングなどをWestern blot法や定量RT-PCR法を用いて発現の変化を解析する。
2.胎生期低栄養マウスモデルにおける小胞体ストレス緩和剤投与実験;胎生期低栄養マウスモデルにおいて、成長後のに小胞体ストレス緩和剤であるTUDCA(Taursodeoxycolic acid)を投与して、仔の成長後の皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織において、マクロファージの浸潤数や脂肪細胞直径の分布など脂肪組織のリモデリングに及ぼす影響を検討し、血清脂質のプロファイルの変化を検討する。
3.胎生期低栄養マウスモデルにおける玄米、白米含有餌投与;胎生期低栄養マウスモデルにおいて、仔の成長後に小胞体ストレス緩和剤作用をがあるγオリザノールを含有する玄米をベースに調整した餌を投与して、白米をベースに調整した餌を投与した群と比較対象を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.胎生期低栄養マウスモデルにおける小胞体ストレス応答の検討において,
精巣周囲脂肪、および皮下脂肪組織において、小胞体ストレス応答のマーカーであるCHOP、XBP1スプライシングの遺伝子発現の変化を定量RT-PCR法を用いてを解析できた。
2.胎生期低栄養マウスモデルにおいて、成長後に小胞体ストレス緩和剤TUDCAを投与して、成長後の皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織において、マクロファージ浸潤数、血清脂質のプロファイルの変化を検討できた。
3.胎生期低栄養マウスモデルにおいて、小胞体ストレス緩和作用を有するγオリザノールを含有する玄米をベースに調整した餌を投与して、白米をベースに調整した餌を投与した群と比較対象を行っているところである。

今後の研究の推進方策

1.胎生期低栄養マウスモデルにおける小胞体ストレス応答の検討において、精巣周囲脂肪、および皮下脂肪組織において、小胞体ストレス応答のPERK経路、IRE1経路、ATF6経路の各経路に関わるマーカーを解析する。
2.胎生期低栄養マウスモデルにおいて、成長後に小胞体ストレス緩和剤TUDCAを投与して、成長後の皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織において、マクロファージ浸潤数、血清脂質のプロファイルの変化を検討できた。
3.胎生期低栄養マウスモデルにおいて、小胞体ストレス緩和作用を有するγオリザノールを含有する玄米混合餌、白米混合餌投与実験を続行し、成獣期の皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織、血清をサンプリングし、小胞体ストレス応答について解析を行う。
4.我々の研究グループはマウス母獣に40%摂餌制限を行い、産生仔に高脂肪餌を与えることで、肝脂肪変性の増悪を認めるが体重差は認めない肝脂肪変性増悪モデルを発表した(Keiko Muramatus-Kato,Sci Rep.2015)に発表した。一方、胎生期低栄養に引き続く授乳期の著しいcatch-up growthは、成長後の肥満や脂肪肝発症リスクを助長すると報告されている。そこでさらにcatch-up growthが脂肪蓄積パターンに与える影響を調べるため、母獣摂餌制限に加え、授乳量の増加によるcatch-up促進マウスモデルを調整し検討する。

次年度使用額が生じた理由

検討中の胎生期低栄養マウスモデルにおいて、PCR試薬の購入が遅れたため、次年度の請求となっている

次年度使用額の使用計画

次年度も引き続き、胎生期低栄養マウスモデルにおける精巣周囲脂肪組織中の小胞体ストレス亢進についてRT-PCR法で検索していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Undernourishment in utero and hepatic steatosis in later2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Itoh, Keiko Muramatsu-Kato, Urmi J. Ferdous, Yukiko Kohmura-Kobayashi,
    • 雑誌名

      Congenital anomaly

      巻: 10 ページ: 1-2

    • DOI

      10.1111/cga.12200

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 胎生期低栄養に続く生後のcatch-up growthが成長後のmetabolic syndrome発症に及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      幸村友季子
    • 学会等名
      第52回 日本周産期新生児医学会学術集会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2016-07-16 – 2016-07-18
  • [学会発表] 小胞体ストレス緩和による脂肪組織の慢性炎症の改善効果の検討―胎生期低栄養・授乳期catch up マウスモデルによる解析―2016

    • 著者名/発表者名
      幸村友季子
    • 学会等名
      第68回 日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2016-04-23 – 2016-04-23
  • [図書] 産科と婦人科2017

    • 著者名/発表者名
      幸村友季子
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] 母子保健とDOHaD2016

    • 著者名/発表者名
      幸村友季子
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      東京医学社

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi