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2016 年度 実施状況報告書

SPACA1の胚発生に与える影響の解析とそれを用いた難治性不妊症の治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K20188
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

岸田 和美  滋賀医科大学, 医学部, 技術職員 (50582631)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード精子 / SPACA1 / 雄性不妊 / Busulfan / ヒト / マウス
研究実績の概要

Sperm acrosome accociated1 (SPACA1)はヒト精子に存在する膜タンパク質で、先体形成に深く関与すると報告されている。これまでに申請者らは、SPACA1がヒト体外受精(C-IVF)成績を予測するマーカー分子となるか検討したところ、受精後の胚発生に深く関与すると推察される結果を得た。先行研究をもとに、SPACA1はsperm oocyte-activating factor (SOAF)の役割を担う可能性があると推察している。本研究ではSPACA1が男性不妊治療の臨床応用に発展させるための基礎を構築すること目指す。
(1) ヒト精子SPACA1の卵子活性化に影響を及ぼす分子との関連性に関する研究
C-IVFを施行する40歳未満の不妊治療施行患者を対象とし、同意の得られた患者の余剰精子を用い検討している。SOAFの候補であるPLCζとSPACA1およびC-IVF成績との関連を解析中である。
(2) 化学療法誘導性精子形成障害モデルマウスにおける精巣および精子中のSpaca1発現の検討
Busulfan投与による薬害が精巣に及ぼす影響を観察した。生後5週齢のマウスを対照区、Busulfan投与区(22mg/kg, 44mg/kg)の3群に分けた。生理食塩水またはBusulfan投与から1週間目に精巣を採取し精巣重量を比較した。精巣の病理所見、SPACA1の分布、アポトーシスについても観察した。その結果、精巣重量はBuslufan投与区が対照区より低重量を示した。また病理所見では対照区は正常な精子細胞を示したが、Buslufan投与区は部分的な喪失が観察された。免疫染色でのSPACA1の分布、TUNEL染色でのアポトーシスは各群で差異が認められなかった。個体毎のSPACA1、一酸化窒素による影響(iNos)をWestern blotting法で解析途中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)研究を開始するにあたり、倫理委員会の承認を得ることや、同意書の作成等の環境整備に時間を費やしたことが遅延の理由である。また、当院での体外受精施行患者の平均年齢が上昇しており、対象となるサンプル数が十分ではない。

(2)研究を開始するにあたり、染色やWestern blotting法の手技の確立に時間を費やしたことが遅延の理由である。また、5週齢のマウスの精巣上体尾からは十分量の精子が得られなかったので、Buslufan投与が精子形成および精子のSPACA1の分布にどのような影響を及すか、明らかにできていない。

以上のことから、現在の進捗状況について、やや遅れていると判断している。

今後の研究の推進方策

(1)継続してサンプルの採取を行う。また、ヒト精子SPACA1の発現様式および発現量に及ぼす因子についても併せて検討する。精液中の活性酸素の値および精子のDNA fragmentationとSPACA1との相関についても解析予定である。

(2)継続して実験を行う。実験2として、Buslufan投与後6週間目のマウスより精巣を採取し、Buslufan投与後1週間目では差異が認められなかったSPACA1の分布とアポトーシスについて重点的に検討する。また、精巣上体尾より採取した精子の運動率や形態、DNA fragmentation、SPACA1の分布について併せて検討する。実験3として、リコンビナントSPACA1タンパク質およびSpaca1 mRNAに蛍光タンパク質を融合させてマウス卵母細胞に顕微注入し、SPACA1が胚の発生に及ぼす影響を明らかにする。

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公開日: 2018-01-16  

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