研究課題
間葉-上皮転換(MET)現象は、間葉系細胞が組織浸潤を行い、再度上皮様構造を形成する状況が想定され、生体内では初期段階で生じる重要な現象の一つである。この現象をin vitroまたはin vivoで明らかにするため、上皮細胞特異的なプロモータ―領域を導入したルシフェラーゼ発光及びVenus蛍光蛋白質を同時に発現するレンチウイルスベクターを構築し、MET現象に伴い化学発光を確認できる細胞株を構築した。本年度は間葉系幹細胞及び不死化子宮内膜間質細胞に導入を行い、培養条件検討によりin vitroで上皮特異的なプロモーターの活性化による化学発光を認める細胞が出現した。また3D培養法や新たに2017年Cellで報告された子宮腺上皮細胞を用いたオルガノイド形成法を用いて、METを再現できないかと研究を進めたが芳しい結果は得られなかった。In vivo実験として、卵巣移植や腎被膜下移植を用いてマウス生体内に移植を行いIVISにてその発光の検出を試みたが発光は認められず、生体内METモデルの作製は困難を示した。しかしながら薬剤を用いて間葉系幹細胞を使用したMET誘導実験では一部の薬剤でMET誘導がかかり、蛋白質レベルで間質マーカーであるN-Cadherinの減少や上皮マーカーであるCytokeratinやE-cadherinの発現上昇が認められ、METシグナルを解明する一端になると考えられた。シグナルを明らかにし、MET制御因子を同定するところまでには至れなかったが、今後使用した薬剤のシグナルを検討し、今後の発展につなげたいと考える。
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Biology of Reproduction
巻: - ページ: in press
10.1093/biolre/ioz004.