研究課題
子宮体部漿液性腺癌は比較的稀な腫瘍であるが、予後の悪い疾患の一つである。化学療法や放射線療法は一定の奏効率があるものの、確立された治療法はなく、再燃すれば極めて予後が不良であり、新しい治療法が求められている。そこで当研究では、手術検体より培養して得られたcancer tissue-originated spheroid(CTOS)を用いて、子宮体部漿液性腺癌の治療ターゲットとなりうる蛋白質、とりわけ膜蛋白をiTRAQ法を用いて網羅的に解析し、診断・創薬の鍵となる蛋白質を同定することを目的とした。具体的な方法としては、まず、子宮体部漿液性腺癌のCTOSにおける蛋白質発現を3次元培養した正常子宮内膜細胞株とiTRAQ法を用いて比較し、治療対象となる膜蛋白質の同定を行い、同定された蛋白質について、子宮体部漿液性腺癌の臨床検体における発現を免疫組織染色およびwestern blottingによる確認を行う。子宮体部漿液性腺癌のCTOSもしくは細胞株を用い、その遺伝子発現の役割を検討し、強制発現系もしくはRNAiを用いて、その遺伝子・蛋白質の子宮体部漿液性腺癌の浸潤・転移・薬剤耐性における役割を解析し、特に分子標的治療や抗体医薬品の対象とできる遺伝子を決定する計画であった。現在までに、子宮体部漿液性腺癌のCTOSを12検体より作成し、うち、4検体のCTOSが安定培養が可能であり、NOD/SCIDマウスもしくはヌードマウスに造腫瘍能を持つことが判明している。その4検体を用いて実験をすすめる予定とし、CTOSを冷凍保存できる環境を整え、マウスにCTOSを移植し、iTRAQ法を行う予定であったが、研究代表者が退職となったため、本研究は終了となった。
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