研究課題/領域番号 |
16K20191
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
田村 功 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40610663)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脱落膜化 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
着床に不可欠な現象である子宮内膜間質細胞の脱落膜化過程では、ゲノムワイドな遺伝子発現変化に伴い多くのゲノム領域で活性化ヒストン修飾変化が起きる。これらの多くは、転写開始点から離れた領域に存在し、未知のenhancer領域であると考えられる。近年開発されたゲノム編集の技術を応用することで、このenhancer領域が実際に遺伝子発現に関与しているかを証明することができる。本研究では、エピゲノム解析により見出された新たなIGFBP1のenhancer領域の転写活性をゲノム編集技術により証明することを目的とした。最初、初代培養または不死化子宮内膜間質細胞を用いて、ゲノム編集によるIGFBP1 enhancer領域欠失細胞の作製を試みたが、トランスフェクション効率の低さやゲノム編集効率の低さから目的の細胞を作製することはできなかった。代わりに、IGFBP1を高発現しているHepG2細胞を用いて、IGFBP1 enhancer領域欠失細胞の作製を試みたところ、目的の細胞を作製することができた。このenhancer領域欠失細胞は、IGFBP1遺伝子発現が低いことがわかった。これにより、着目したenhancer領域が実際に遺伝子発現に関与していることを証明できた。また、この領域に結合する転写因子をChIP assayにより解析したところ、脱落膜化によりいくつかの転写因子の結合が誘導されることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集は技術的にも難しく目的の変異細胞を作製することが困難な場合が多い。今回は、HepG2細胞を用いることで研究の目的にあった細胞を作製することができた。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、enhancer領域に結合する転写因子に着目し、さらなる詳細な解析をすすめる。そのためには、これまで通り月一回のカンファレンスにて研究の推進状況を報告し、研究成果に対して討論を行い、研究の方向性を適宜調整することにより研究効率の向上を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験内容に変更はなかったが、実験が順調に進んだこと及び実験試薬の変更などにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、ChIP assayなどに用いる実験試薬や消耗品、成果発表の旅費に合わせて使用する。
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