研究課題/領域番号 |
16K20198
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
淵 直樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20727359)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | HTLV-1 / 妊婦 / プロウイルス量 / キャリア / 母子感染 |
研究実績の概要 |
妊娠に伴うHTLV-1プロウイルス量、T細胞数の推移を明らかにし、HTLV-1キャリアの妊娠に伴う病態生理の解明を目指した。1) 検体集積状況:HTLV-1キャリア妊婦およびHTLV-1非感染妊婦において、妊娠経時的に妊娠初期、中期、後期、産褥期に母体血を集積し、それぞれ制御性T細胞およびsIL-2Rを測定した。また、キャリア妊婦においては、経時的にHTLV-1プロウイルス量の測定を行った。平成28年度までに36名のキャリア妊婦および17名の非感染妊婦から検体および調査票を集積した。2)、3)キャリア妊婦および非感染妊婦におけるHTLV-1プロウイルス量、制御性T細胞数およびsIL-2Rの推移:まずキャリア妊婦においてPCR法を用いて妊娠期間中のHTLV-1プロウイルス量の推移について検討した。高プロウイルス群と低プロウイルス量群の2群に分けて検討した。両群ともに妊娠中はプロウイルス量が横ばいで推移したが、産褥におけるプロウイルス量は妊娠中のそれと比較して上昇する傾向を認めた。ついで、キャリア妊婦および非感染妊婦において、制御性T細胞数とsIL-2R値の各時期における両者間の比較を行った。妊娠中は両者間に有意な差は認めなかったが、産褥において制御性T細胞数およびsIL-2R値いずれもHTLV-1キャリア妊婦が高いという結果であった。4) 妊娠中のHTLV-1感染の状態(HTLV-1プロウイルス量、制御性T細胞数)と産科合併症との関連を明らかにする:集積したキャリア妊婦において産科合併症の発症が少なく(妊娠高血圧症候群2名、切迫早産2名、前置胎盤0名)、検体数が少ないためHTLV-1の感染状態と産科合併症との関連については関連を示すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標症例数100例のうち39例の検体集積を行った。検体集積の進捗としてはやや遅れている状況である。また、本年度はHTLV-1感染における妊娠合併症との関連を明らかにする予定であったが、産科合併症の発症が少なかったため関連を示すには至っていない。次年度も引き続き検体集積が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
キャリア妊婦におけるHTLV-1プロウイルス量は、高いものから低いものまで個人差が大きいため、検体数を多く解析することで経時的な推移について明らかにすることができる。次年度も検体集積を継続することで、HTLV-1プロウイルス量の推移について有意な差を認めるかどうか検討する。また、妊娠合併症とHTLV-1感染の状態とが関連するかどうか検討する。さらに、母子感染成立の評価として、児が3歳以降でHTLV-1抗体検査陽性であるか否かについて調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は検体集積および解析数が目標の約1/3程度であったためPCRにかかる試薬の使用量も1/3程度であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は検体集積数を増やし、本年度に解析できなかった分の検体について解析する予定であるため、申請した額は予定通り使用される。
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