産婦人科領域での病態に子宮内膜の機能異常が大きく関わっていると考えられるが、子宮内膜の機能については不明な点が多い。そこで、様々な生理学的機能をもつマイクロRNAに着目し、研究を進めた。これまでに、マイクロアレイによる網羅的な解析から、子宮内膜の脱落膜化によって発現変動するマイクロRNAを同定した。このうち、miR-542-3pは、脱落膜化マーカーであるIGFBP1を制御することを明らかにした。さらに、FOXO1は脱落膜化に伴い、抗酸化に関する遺伝子を制御することがわかっているが、このFOXO1を制御すると予測されるマイクロRNAとして二つのマイクロRNAを同定した。同定したマイクロRNAの発現制御関係や、同定したマイクロRNAの着床現象への働きについて解析を行った。その結果、この二つのマイクロRNAは、協調的に働いていることや、この二つのマイクロRNAを同時に子宮内膜細胞に強制発現した場合に脱落膜化を抑制することから、脱落膜化に置いて重要な働きをしていることを明らかにした。また、このマイクロRNAが制御する遺伝子についても明らかにした。
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