研究課題
<最終年度の研究成果>①ファルネシル転移酵素およびゲラニルゲラニル転移酵素を同時阻害するL-778123を化学合成した。Simvastatinと比較した結果、卵巣癌細胞株OVSAHOとKURAMOCHIにおけるIC50値でL-778123(56.9μM, >100μM)はSimvastatin(2.99μM, 20.5μM)に劣った。このことより、スタチン製剤はメバロン酸合成経路を阻害することだけでなく、その他の作用経路により抗腫瘍効果を発揮していることが示唆された。そこで上記細胞株を用いてSimvastatinとL-778123をそれぞれ添加培養しマイクロアレイ解析を行い、その他の作用経路につき探索中である。②卵巣癌細胞株SKOV3を用いてスタチン投与群とcontrol群との間でメタボロミクス解析を行った。その結果、スタチン投与によりフェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、バリン、アセチル補酵素AなどのTCA回路に関わる代謝物が増加する一方で、解糖系の最終産物である乳酸が減少した。このことより、スタチン製剤がワールブルク効果を回避し、TCA回路を活性化させ酸化的リン酸化にシフトさせている可能性が示唆された。<研究期間全体の研究成果>①スタチン製剤だけでなく、ファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害するビスフォスフォネート製剤も細胞増殖抑制効果、抗腫瘍効果を示すことを確認し、メバロン酸合成経路を阻害する薬剤自体が卵巣癌の抗腫瘍薬となりうる可能性を明らかとした。②スタチン製剤は、ファルネシル転移酵素およびゲラニルゲラニル転移酵素を含めたメバロン酸合成経路を阻害することだけでなく、その他の作用経路により抗腫瘍効果を発揮していることが示唆された。③スタチン製剤がワールブルク効果を回避し、TCA回路を活性化させミトコンドリアでの酸化的リン酸化にシフトさせている可能性が示唆された。
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日本臨床 婦人科がん(第2版)ー最新の研究動向ー
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Oncotarget
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