研究課題/領域番号 |
16K20207
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70570894)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早産 / 白血球遊走能 |
研究実績の概要 |
分娩機序のなかで子宮や胎盤などへの白血球浸潤が重要であることに着目し、妊娠週数が進むに従い白血球遊走数が漸増すると仮定し、白血球組織侵入アッセイモデルを用いて分娩時期予測ができるかどうか全妊娠期間を通じて検討した。 Neuro probe社のmultiwell chemotaxis chamberを用いた。この装置では下段の物質に誘導され、上段の細胞は下段に侵入する。全妊娠期間中に5回(1st、2nd、3rd trimester、陣痛発来時、産後3日目)採血を行い、チャンバーの上段には妊婦末梢血から得られた白血球10万個、下段には満期産経腟分娩で娩出した卵膜から得られた抽出液を入れた。アッセイ終了後に下段の溶液を採取し、白血球及びその分画や組成をフローサイトメトリーによってカウントした。 白血球遊走数は2nd trimesterが1st trimesterに比べ有意に増加した(p=0.03)。また仮定に反して、白血球遊走数は2nd trimesterが3rd trimesterに比較し有意に増加していた。また、今回の実験では3rd trimesterと陣痛発来時の白血球遊走数に有意差は認めなかった。遊走した白血球は約80%以上が顆粒球であり、その中でもCD11b陽性細胞が約95%と大部分を占めていた。その割合は妊娠期間に限らず一定していた。現時点での結果のまとめとしては、妊娠週数の変化で白血球は特異的に性質を変え、卵膜抽出液に対し、漸増ではなく、特に2nd trimester(と陣痛発来時)でCD11b陽性細胞が多く遊走したということになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血球遊走数が安定して測定できているため、当初の予定通りの検体数を用いて研究を継続できている。2nd trimesterが1st trimesterに比べ有意に増加するという仮説通りの結果を得られた一方で、また仮説に反した白血球遊走数は2nd trimesterが3rd trimesterに比較し有意に増加するという次期研究につながる結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
上記結果の再現性を確認する作業を継続して行っていく。また、国際学会での発表や論文投稿に向けた準備を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究の進捗が順調であったため、当初の予定より早期に測定を完了することができたため次年度使用額が生じた。次年度では研究成果を発表する機会を多く得られることによる旅費の使用および、論文査読結果による追加研究などで使用する予定である。
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